日本労働評議会 高知県本部

【日本交通分会】活動報告


前回の団体交渉から5ヵ月が経過しました。その間、私たちは新型コロナウイルス感染症対策を中心に賃金問題や安全衛生問題を解決するために活動をしてきました。私たちはこれまでもコロナ禍において発生した労働問題を団体交渉や抗議行動、当局への指導要請などを通していくつも解決してきましたが、日交資本のコロナ対応は依然として十分とは言えず、新たな問題も発生しています。今回は、直近5か月の活動を報告させていただきます。

団体交渉の結果を尊重しないつもりか!? 日交資本、労働協約化を拒否

2021年8月19日、第1回から第6回までの団体交渉において、労使間で合意に達した事項を労働協約化するため、確認書を作成し日交資本に提出しました。

210819日本交通 確認書(労働協約書)

【日交資本の回答】

「本社労務と顧問弁護士に確認したところ、単独労組とこれまで労働協約を締結したことが無いため、協約することを前提に考えていない。質問があれば次回団交で説明する」

【当組合の見解】

団体交渉で合意した事項について、労働組合から労働協約とすることを求められたにも拘らず、使用者が相当な理由なくこの合意を無視して労働協約の書面作成を拒否することは、団体交渉の結果を尊重しないということに他ならず、不当労働行為として許されません。

【日交資本の対応】

現在、日交資本は10月末までに最終回答をすると言っていますので、その時の回答次第では、東京都労働委員会に救済申し立てします。

 

※参考判例・命令等

〇 大阪貨物事件・中労委命令昭48.3.7命令集49集

〇 日本鉄線事件・松江地裁判決昭27.11.14労民集3巻6号

〇 石塚証券事件・東京地裁判決平成5年1月21日

※参考文献

「労働組合実践マニュアル」日本労働弁護団・2011.11.11 99頁。

 

特定の時期にまとまって感染者が発生しなければコロナ対策は御座なりで良いのか?

2021年9月6日、東京労働局に指導要請しました。

【通報の概要】

会社がコロナ感染対策をしてくれないため、コロナ感染者が何人も出ている。労働安全衛生法第三条に抵触するため、日本交通に改善するよう指導して頂きたい。

【通報の詳細】

三鷹営業所の所長は、我々が団体交渉や安全衛生委員会でコロナ対策を取るよう要請しても、表面上の対応を取るだけで、問題を根本から解決する対応は取ってくれない。因果関係は分からないが、職場で18人ほどコロナ感染者が出ている。そのうちの1人が9月1日に亡くなった。会社は「特定の時期にまとまって感染者が発生していないからクラスターではない」と断言しているが、現在も3人の乗務員がコロナに感染し休んでいる。所長は、保健所からも何も指導されていないと言っているが、現在保健所は忙しくて、濃厚接触者を調べられる状況に無いことは周知の事実である。今回亡くなった乗務員も、点呼中に具合が悪くなり1時間半ほど会社で休んでいた。その間に接触した乗務員も多くいる。彼を病院から自宅まで送迎した職員も、常識で考えたら濃厚接触者だが、保健所の担当者が「濃厚接触者ではない」と言ったことを根拠に勤務を続けている。また、乗務員が感染してから発症するまでの期間、同じ車に乗っていた乗務員には、PCR検査を促すなどの対応も必要だと我々は考えている。しかし、同所長は、「車を消毒したから問題ない」として、当該乗務員に対し、感染者が載っていた車両であることを伝えていない。

当組合が日交資本に対し団体交渉や安全衛生委員会で要請したのは、「集団点呼は密状態であるため、個別点呼に変えるように」である。しかし、所長は「個別点呼は非効率であるため点呼時間を短くすることで対応する」と回答。乗務員が亡くなった後に再度、個別点呼の実施を要請した際も、「今よりさらに点呼時間を短くする」と回答している。また、点呼場の換気に至っては、「花粉症の人もいるから開けられない」と、十分な換気を行っていない。現在も、二カ所ある出入り口は、どちらも空いている時間より閉まっている時間の方が長い。さらに、仮眠室の布団も交換用のシーツが不足していることがあり、新しいシーツが補充されるまでは汚れたシーツを使い続けることになる。また、アルコールチェックをする際に使用する使い捨てのストローも、導入時に会社がハサミで2つに切って使うよう指導していたこともあり、ハサミを介して感染している疑いも拭えない。我々が「ハサミを撤去しろ」と言っても、聞く耳を持たない。

以上の事から、会社が安全配慮義務を欠いていることは明らかであり、労働安全衛生法第三条に抵触する。日本交通に改善するよう指導して頂きたい。

※安全衛生法第三条

「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」

 

【東京労働局の回答】

安全衛生法第3条は、違反したからといって罰則がある条文ではない。まずは、「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を予防するためのチェックリスト」に照らし、該当項目があるか確認してもらいたい。

チェックリストに該当する、点呼時の密、点呼場の換気については、三鷹労働基準監督署に伝えておく。チェック項目に該当しないが、仮眠室のシーツ、ストローを切るハサミについても伝えておく。

 

【日交資本の対応】

10月5日現在、個別点呼は実施されていないが、点呼場にある棚の位置を壁側に寄せ点呼スペースを広くしている。これに加え、点呼の回数を増やしてくれたことで密状態は若干解消された。換気に関しても、正面玄関のドアを全開にしている。仮眠室のシーツ類も、不足が発生しないよう業者に依頼したらしい。冬場にかけて新型コロナウイルス感染症の第6派が来るとの予測もあるため、対応してくれたことに感謝したい。

個人情報は金なり!

2021年9月6日、個人情報保護委員会に指導要請しました。

要請1 車内カメラの映像の運用方法について

【要請内容】

日本交通はタクシーの車内を撮影した映像を本来の目的とは違うことに利用しています。これが個人情報保護法に抵触すると思われるため、指導していただきたく通報をした次第です。

これまでの経緯と具体的な事例を挙げますと、日本交通では、7~8年前に防犯目的で車内カメラを導入しましたが、その後、映像の活用方法や管理方法について労使間で話し合い、事故・違反・苦情があった際に、次長以上の管理責任者と労働組合の役員と当該乗務員の3者が立会いのもとチェックできることに決まりました。しかし、先日、オリンピックが開催された際に、会社はオリンピック関係者を乗せる前と乗せた後、それぞれ10分間、車内消毒をしているか映像を観てチェックしていました。映像の管理者いわく、「オリンピック委員会から確認するよう要請があった」とのことですが、衛生目的であれば、いつでも好き勝手に映像をチェックできるということになると、オリンピック後も「車内換気をしているか確認していた」と理由を付けて、チェック可能になってしまいます。この件は個人情報保護法15条と16条に抵触すると思います。また、車内カメラの映像を取り扱う人間の中には、試採用の職員や班長といった情報管理スキルが低い者が含まれています。彼らは常に車内カメラ管理責任者の管理下にいるわけではない為、映像を自宅に持ち帰ることも可能です。この件は個人情報保護法20条と21条に抵触すると思います。

 

【当局の回答】

ワクチンが人々に行き渡っていない中、会社が公衆衛生上の目的で情報収集したということであれば、個人情報保護法の例外規定に該当するため違反ではない。

要請2 ワクチン接種状況の確認方法について

【要請内容】

現在、日本交通では全乗務員に対し、コロナワクチンの接種状況を確認しています。確認方法は、記入用紙に名前とワクチンを接種済みか接種していないか、これから接種する予定があるかについて記入するようになっています。問題は、他の乗務員の接種状況も見えるようになっていることに加え、個人情報を収集する目的や、記入を拒否できるかについて一切説明していないことです。私は骨折して自宅療養中でしたが、自宅に試採用の従業員から連絡があり、口頭で質問されました。私はその場で三鷹営業所の副所長に収集の目的を確認しましたが、「多分、職域接種をするために状況を把握しておくためではないか」との回答でした。しかし、先日職域接種した際は、接種希望者だけリストに記入する方式でやっていました。今回もその方法で可能なはずです。

本社の指示でやっているとのことでしたので、本社の労務部にも利用目的を確認しましたが、労務部長いわく「従業員の健康状態を確認するのは安全衛生上当然のことであり、何ら問題はない」との回答でした。しかし、私が調べた限りでは、社員のワクチン接種に関する情報は、労働者の健康に関する個人情報として、要配慮個人情報に該当するため、個人情報を収集する際は利用目的を明らかにしたうえで行うことになっています。根拠法令は(個人情報保護法16条、17条、18条、20条、23条)になります。日本交通に指導してください。

また、日本交通グループの会長であり、業界団体のトップである川鍋氏が、9月1日にコロナに感染し亡くなった乗務員のワクチン接種状況をツイッター上に発信した。この行為は目的外利用にならないか?

【当局の回答】

ワクチン接種状況は要配慮個人情報ではないというのが当機関の統一見解である。また、利用目的が安全衛生上ということであれば、ワクチンの接種状況を確認すること自体に問題はない。本人が回答した時点で同意を得たことになる。他人の接種状況が見える状態になっていたことについては、社内での個人情報共有が法令で認められているため違反ではない。ただ、プライバシー上の問題があるとして会社にやり方を変えるよう提案してみてはどうか。それでも解決しないときは、法務省管轄の「みんなの人権110番」に相談してほしい。

相談者が懸念しているように、会社が大口顧客に対し、ワクチン接種済みの乗務員を配車しているのであれば、一般利用者と差別的な取り扱いをするための個人情報収集として目的外利用にあたる可能性がある。その時は、調査を検討するので情報提供してほしい。

亡くなった人の個人情報は個人情報保護法の対象ではない。遺族のプライバシーを侵害したとして会社に損害賠償請求するなら分かるが、こちらの管轄ではないため対応できない。

【日交資本の対応】

10月5日現在、日交資本は、ワクチン接種のアンケート調査の目的について「従業員の接種状況を把握するため行った」と回答しています。また、「無線センターと情報共有していない」ということで、目的外利用もしないとのこと。ただ、利用目的の周知については回答を拒否しています。

要請3 モビリティーテクノロジーズの他社アプリデータの侵害について

【質問】

日本交通のグループ会社である株式会社モビリティーテクノロジーズにおいて、日本交通の担当者が他のタクシー会社のアプリ配車情報を閲覧できるアカウントを作成し3623名分の顧客情報を閲覧していました。この件は個人情報不正取得や、目的外利用として個人情報保護法20条と21条に抵触すると思います。

日本交通に指導をお願いします。

【当局の回答】

この件に関しては、会議で話し合って調査するか決める。指導が必要と判断した際はこちらでしかるべき手配をする。進捗状況については守秘義務上お知らせできない。ただ、モビリティーテクノロジーズはホームページで原因と対策を発表しているため、これ以上こちらで何かやる必要は無いと思う。この件の詳細が書かれた業界紙についてはこちらで確認するので、FAXしてもらう必要は無い。

 

【株式会社Mobility Technologies】

2021.04.20 お知らせ

個別アプリ配車情報等の取り扱い不備についてのお知らせ

https://mo-t.com/news/info/2021/04/20/05213b80-dde6-5fdf-99e0-5db00f0a385a/

株式会社Mobility Technologiesは、ホームページ上で日本交通の担当者が他社の個人情報を不正取得していたと認めながら、現在も経緯を調査中として、不正を指示した人間を特定していません。また、責任者を処分したとの報告もありません。再発防止策としては不十分と言わざるを得ません。別件ではありますが、同社は、タクシーが10分間停車すると一律休憩時間としてカウントする自動日報システムも開発・販売しています。この件についても、当組合は労基法に抵触するシステムを開発・販売している会社として問題視しています。なお、同社と日本交通のトップを務めるのは、業界団体のトップでもある川鍋一郎会長です。

不正競争防止法に抵触している疑いもある事から、近く、経済産業省にも通報します。

 

喫煙者の権利と従業員の健康、どちらが大事?

9月13日、「新型コロナウイルス感染症対策に関する要求書」を提出

210913日本交通分会 新型コロナウイルス感染症に関する要求書

10月4日時点で日交資本から回答はありません。

私たちは、日本で新型コロナウイルス感染症が確認された初期段階で日本交通分会を立ち上げました。それからというもの、日交資本に対しコロナ対策に関する要求書をいくつも提出してきましたが、彼らの対応は、常に後手後手でした。そのため、今回、未対応となっている要求を洗い出し再提出しました。

これらの要求は、三鷹営業所の安全衛生委員会でも議題として取り上げ、風呂場の衛生問題に関しては労評がルールを策定し、すでに実施されています。その他の要求に関しては、日交資本の委員と日交労の委員が「現状問題が生じていない」「組合員から、そのような要望は出ていない」と、反対していました。いつもながら呆れます。仕方ないため、喫煙所の問題に関しては9月27日に多摩府中保健所に受動喫煙防止法の観点から通報しました。近く、三鷹営業所の喫煙所は移動すると思います。また、更衣室と脱衣所の空気清浄機については、「原資が無いため検討させてほしい」と、お決まりの逃げ口上。仕方なく、労評の分会長として空気清浄機を4台寄付させてほしいと申し出ました。この件については、次回までに、会社で購入するのか労評から寄付してもらうのか、双方について検討し回答するということになりました。

 

ご冥福をお祈りいたします

2021年10月4日、「コロナに感染し亡くなった乗務員に関する要求書」を提出

211004日本交通分会 コロナに罹患し亡くなった乗務員に関する要求書

この要求書は提出して間もないため、日交資本からの回答はありません。

10月5日に団体交渉がありますので、その報告と併せてお知らせ出来ると思います。

大切な人を失わないためにも、みんなで力を合わせて、安心して働ける職場環境を作っていきましょう。


7月13日、東北大第1回団交が行われました!

労評宮城県本部の活動を報告します。


レポート不受理の理由は何なのか?副学長に問う

 令和3年7月13日、第1回団交が行われました。

 大学側は副学長や理事など総勢10名程度が参加し、労評側もTさんのほか役員や他の組合員が参加しました

 この当時のTさんは、上司である副学長に、研究計画や研究レポートを提出しても受理してもらえないという研究の妨害・アカハラを受けた上、“研究レポートを提出しなかった”という理由で懲戒処分を受けるなど、一方的に処分が進められており、研究ができる状況ではありませんでした。

そこで今回の団交は、労評が副学長と直に話す初めての機会でもあったので、研究の妨害やアカハラに見える副学長の言動の意図を聞いていくことを方針としました。

労評としては、副学長の言動には悪意がある、指導の形を借りたアカハラである、という見解があるため、その裏付けとなる発言を引き出して、これ以降の闘争をより強力に進めたいという作戦でもありました。ただ、もしTさんと副学長のただのすれ違いだったと明らかになるならば、この団交を機に、研究が円滑に進むようになればそれで良いのです。

レポート不受理の理由ははぐらかし、全て無かったことにしようとする

 団交の場では、労評側から方針に沿って、研究の計画やレポートが不受理な理由や具体的に内容をどのように改めればいいのか、などの質問を副学長に投げかけていきました。

 ところが、副学長は、労評からの質問に対して明確な回答をしませんでした。

そして、ここまで散々、研究の計画書やレポートを受理せずに跳ね除けてきたところから一転して、「ジャーナルに論文を投稿しさえすれば、この間のレポート提出の件についてはこれ以上問いただすことはしません。」という妥協案を提案してきたのです。つまり、これまでのことは無かったことにしようというのです。

本当にTさんのための妥協案なのか?

 副学長の言い方は「レポートを提出しなかったTさんを、特別に許してあげよう。」といった様子であり、一見するとTさんのための妥協案にも見えます。

しかし、実際は、Tさんがレポートを提出できなかった原因は、副学長が作り出したものです。大学側が雇用契約と整合する形で、はじめからきちんと研究にあたらせていれば、Tさんは意図したような研究もでき、レポートも提出でき、適応障害を患うこともなかったのです。

副学長が自分で蒔いた種なのだから、自分で対応するのは当たり前のことであり、「悪いことをしたTさんを許してあげる。」というのはおかしな態度です。むしろ、なぜ真っ先に「自分のミスのために、研究をさせてあげられなくて、病気にまでさせてしまって、申し訳ない。」と謝罪する気にならないのでしょうか。

研究できなかった時間は取り戻すことはできず、壊れた心身は簡単に元には戻りません。Tさんには、無かったことになどできない現実があるのです。副学長はそれはまったくわかっていません。

 

東北大のハラスメント体質

副学長は肝心の質問にきちんと答えず、受理する気がないレポートを提出させ続けたことに悪意があったのかどうかは、明らかにはなりませんでした。

しかし、「これでいいでしょ。」と言わんばかりに、何の解決にもならない妥協案を出してきて偉そうにしているところを見ると、副学長が若手研究者の人生をないがしろにしていることは明らかです。

研究者には、研究をして社会に貢献したいという面と、働いて生活していかなければならないという面があり、どちらも尊重されるべきものですが、副学長はその両方を踏みにじり、自分が出世するための、踏み台にしていると言えるのではないでしょうか。 

実は、東北大でハラスメントにあったという事例はTさん以外にも数多くあるため、これは副学長個人の問題というわけでなく、東北大の体質の問題であるかもしれません。労評では、同じような目に遭っている研究者の方々のためにも、Tさんの事例だけではなく広く目を向けて取り組んでいきます。

東北大の教職員の方、学生の方でハラスメントにお悩みの方はいませんか?相談を受け付けますので、ぜひ抱え込まずにご相談ください。


副学長がパワハラ!東北大の特任助教からの労働相談

労評宮城県本部の活動を報告します。


発端は嘘の求人。研究職として雇ったのに研究をさせない!?

20194月、Tさんは、東北大が主幹大学をつとめるEarth on Edge (EoE)プロジェクトの“特任助教(研究)”として採用されました。東北大の特任助教には、主に担う業務によって、“研究”“運営”“教育”という3種類の雇用形態があり、Tさんは研究職を希望していたため、この求人に応募することにしたのです。

 

しかし、実際に指示された業務は運営業務がほぼ全てで、研究をすることはできませんでした。

 

研究の時間がとれないことは、Tさんにとって大きな意味があります。

まず、Tさんは研究者として、EoEの中でキャリアを積もうと考えていたのにそれが叶わなくなりました。だからと言ってすぐ辞めれば経歴に傷がつき、また、専門が細かく分かれている研究キャリアの特殊性から、辞めたところで自分に合致する求人はそうそう見つかりません。Tさんが研究者としてやっていく上では、今回の件が大きな時間のロスになり、将来設計を狂わせてしまいました。

ほかにも、Tさんが代表研究者(責任者)となっている科研費研究(研究者の自由な発想に基づき日本学術振興会から競争的資金を獲得してなされる研究)にあてる時間がとれず、研究者としての信頼を失う危機にも直面しました。

 

しかも、のちに副学長の発言から明らかになったことですが、“特任助教(研究)”として雇ったのは意図的なものでした。“特任助教(教育)” “特任助教(運営)”には裁量労働制が適用されないのに対し、“特任助教(研究)”の場合、裁量労働制が適用され残業代を払わずに済むからと、あえてこのような求人にしていたのです。まさに若手研究者を物として扱い、その未来を潰す行為です。

 

この契約の問題は、明らかな違法行為であり、一般的に言っても許されることではありませんが、それに加えて、まだ若い研究者であるTさんにとっては、研究者としてのキャリアや生命がかかった重大な問題とも言えます。

 

契約違反を指摘するとパワハラが始まる。Tさんは適応障害を発症。

 Tさんは、副学長はじめ、上司に対して、業務内容が契約と違うことを何度も指摘しました。

 

すると、複数の上司から、「君は研究職じゃない。」と契約内容を無視したうえで「スペック合わなければさよならも言える。」と解雇を示唆されたり、「(今の職のままでは)事務補佐員的な仕事になっちゃうんだよ。研究者としての実績が残せなくなっちゃう。」「だからそうなったときに研究者として非常にネガティブだよなと思ったんで。」「今の仕事そのまま続けたほうがいいか悪いか。」と退職勧奨をされたり、ということが頻繁に起こるようになっていきました。

 

その中でTさんは大きなストレスを感じ、心身にも不調をきたすようなり、適応障害まで発症してしまいました。副学長からのメールを開こうとするだけで動悸がしたり、夜も眠れませんでした。

 

Tさんの研究を妨害する副学長

 2020年2月、Tさんは、東北大内の教職員組合での団体交渉を行い、ようやく、研究職として働くことを上司に認めさせることができました。その頃には任期3年のうち、1年が経とうとしていました。

 

 すると、今度は、提出した研究計画がEoEプロジェクトの趣旨とずれているとして、研究計画を副学長が受理しないということが起きました。Tさんは何度も直して提出しましたが、不受理が続きました。

 

さらに研究進捗レポートの提出も催促されるようになりました。計画書が受理されないうちにレポートの提出とはどういうことでしょうか?しかし提出しないでいると、仕事をさぼっているような扱いをうけるため、Tさんは、自分なりに研究を進め、レポートを提出しました。しかしこれもずれているとして不受理。どこがずれているのか聞いても教えてくれず、Tさんが自分なりに直して提出しても不受理の連続で、研究を進めたくても進められないTさんは先が見えず、さらに追い込まれていきました。理する気がない計画書やレポートを何度も提出させ続ける理由は、悪意以外に考えられるでしょうか?

 

さらに追い打ちをかけるように、副学長は、レポートを提出しないことを理由として、Tさんを懲戒委員会にかけました。Tさんは、懲戒委員会の場で、上司からハラスメントを受け続けてきたことやレポートを提出しても受け取ってもらえなかったことなど事情を説明しましたが、考慮されず、厳重注意という処分を受けることとなりました。

 

労評はTさんの受けてきた数々のハラスメントと闘っていきます!

 副学長のハラスメントは、雇用契約違反から始まり、労働力として思い通りに使えないとなると退職勧奨というパワハラをし、それが上手くいかないと陰湿な方法で研究を妨害するアカハラをし、最終的には懲戒委員会で厳重注意の処分までおこなってきました。

今回の件でTさんが厳重注意を受けるのはおかしな話であり、本当に公正な調査や審議が行われたのか疑問です。この件も、優位な立場を利用したパワハラと言えるかもしれません。

 

 一連のパワハラには複数の上司が関わっていますが、その中心と言えるのは、現在の副学長(2019年当時は研究科長)です。Tさんの入職からの経緯を見るだけでも、副学長が、使用者と労働者、副学長と特任助教、という立場の差や権力を利用して、若手研究者を良いように使おうとしているのが見えます。

 

 このような環境では、Tさんのように社会のために研究をしたいと考える研究者がつぶされていってしまうのであり、労評としては、この状況を許すことはできません。研究者の方が活き活きと研究することができる環境をつくるためにも、Tさんとこの問題に一緒に取り組んでいきます。



【労評QB分会】組合だよりVol.4

労評神奈川県本部で取り組んでいるQB分会の活動を報告します。

 

第5回団体交渉で不正を認めつつも、責任逃れする古川マネージャー

6月6日に5回目の団体交渉が行われました。本来、団体交渉は5月23日の予定だったにもかかわらず、 当日夕方に弁護士が参加できないことを理由にドタキャンしてきたのです。そもそも、弁護士は団交に出る義務はなく、古川マネージャーだけ出てこれば良かったのですが、それを拒んだのです。違法行為を助長させる悪徳弁護士など言語道断です。

この間の酷い対応も含めて、法で認められた懲戒制度を使い、弁護士懲戒請求をすることにしました。

議題は、①雇用契約書の内容②週44時間労働の妥当性③社会保険の未加入問題④謝罪要求でしたが、時間内に全てやりきれなかったので、7月6日(火)に6回目の団体交渉を行います。

就業規則がないのに「就業規則を適用する。」と記載されていることについて、過去のことは棚に上げ「前を向いてルールを作りましょう!」という始末。謝罪もなく反省の色が見えません。

さらに法人の頃、社会保険に加入していなかった違法な事実も認め、お金が無いから個人事業に切り替えて社会保険加入を逃れたことも暴露しました。

QBハウスに面接に行って採用されたはずなのに、古川マネージャーが社長だって!?後になってQBスタッフじゃなかったことを知り、QBスタッフと同じ福利厚生も受けられない。私たちは派遣労働者ではありません!

一体、どれだけずさんな労務管理なのでしょうか。一人ひとりの問題意識を集め、古川エリアで働く皆さんが一丸となって改善させていかなければならない問題です。

 

QBブランディングを無視した経営実態

「QBで働くメリットは手厚い福利厚生♪定年制もカット!社会保険にも加入できる!」………みなさん、実際はどうでしょう?いつも急に2万3万と賃金を下げ、それに付け加え65歳定年制まで強行し賃金を下げようと画策しています。また、今年4月に加入すると言っていた社会保険も、売上低迷を理由に加入しないと主張しています。社会保険に加入していないと、何らかの病気や怪我で仕事が出来ない時、傷病手当が出ないのです。こんなリスクを負わせて働かせておきながら、使い捨てるような待遇…本当に許せません。

また、労働者の残業手当を抑えるために、業界の特性を利用した手口(5月号参照)も発覚しています。これら全てのやり方は、働く人に対する侮辱でしかありません。

 

QB本部とエリア店舗の格差是正は喫緊の課題です!

会長に対し現場の実態を無視して「売上が低い、カット時間が長い」と言いつけ、西武東戸塚SC店への短期異動辞令を発するなど、人に対してやりたい放題です。こんなことを許してしまったら、古川マネージャーは更に調子に乗るだけです。就業規則も無く雇用契約書にも異動は明記されていません。さらにエリア店舗の売上の48%はQB本部に吸収されているという驚愕の事実も明らかとなっています。これではエリアスタッフの待遇は一向によくなりません!

同じ環境で働くエリアスタッフの待遇格差の是正は労評として全力で取り組みたいと思っています。

 

賃金を下げられた方、理不尽な待遇を受けた方、どんなことでもご相談ください!

 

労評と一緒に未払い賃金を取り戻し、安心して働ける環境を作りましょう!

 


【日本交通分会】”10分以上停車すると一律休憩時間!?” 労働基準監督署に申告


(三鷹労働基準監督署)

 労評東京都本部日本交通分会の活動について報告します。

労働基準監督署に申告してきました。

日本交通は、10分以上停車すると一律休憩時間としてカウントする自動日報システムを導入しています。

そのため労働時間であるタクシー乗り場での待機時間まで休憩時間としてカウントされてしまい、本来支給されるはずの賃金が不当に支給されないといったケースが生じています。

私たちは、当該自動日報システムを製造しているA社と、日本交通のトップが同じ川鍋一郎会長であること、また、業界団体のトップでもある同会長が、当該システムの普及に注力していることなどを問題視し、過去5回にわたる団体交渉において、「休憩ボタン」を導入し改善するよう強く要請してきました。

しかし、日交資本は「停車時間が10分超えそうな時は、タイヤを転がせば休憩時間のカウントはリセットされる」と、実態と異なる主張を繰り返し、リセットされる証拠も示さないまま放置してきました。

厚生労働省が「停車時間を一律に労働時間から除外して休憩時間とするのは認められない。休憩は労働から解放されていなければいけない。実態をみて判断し、指導を強化していきたい」と、見解を示しているにもかかわらずです。

ここまでの説明でお分かりの通り、日交資本は、この問題を自主的に解決する気が全く無いのです。

 

そこで、今回、私たちは労働基準監督署の監督官に直接法令違反の状況を申告し、指導するよう要請してきました。

監督官は「調査した結果、グレーだった場合は指導することができない」としながらも、「黒のケースが少しでも見つかった場合には指導する」と約束しました。

ただ、調査方法については明らかにしなかったことから、若干不安が残ります。

私達は「昔とは違い、現在はGPSや車内カメラなどを活用し、労働から開放されていたかどうかの判断や労働時間の管理は容易にできるようになった。僅かな停車時間でも一律休憩時間としてカウントする自動日報を導入している会社については、そろそろ改めさせるべきではないか」と、監督官庁の指導方針についても問題提起してきました。

 

労働基準監督官が「納金と洗車は20分」にダメ出し!

また、この話に関連して、監督官から次のような提案がありました。

まず背景から説明します。

日本交通は、タクシー乗務員の労働時間の管理を、タクシーに設置してあるデジタル日報でしか行っていません。
そのため、デジタル日報を開局してから閉局するまでの労働時間は一応カウントしているのですが、車両点検やアルコール検査などの開局前の始業時間や、納金、洗車などの閉局後の終業時間については、それぞれ20分と労働時間を固定していて実際にはカウントしていません。つまり、乗務している時間と、乗務していない営業所内での作業時間の合計である総労働時間を正確に把握していない事になります。

監督官は、今回私たちが提出した資料からその不正事実を即座に見つけ「労働時間が正確に計れないやり方では駄目だ」と現在のやり方を問題視。

監督官自ら「今回、一緒に調査しましょうか?」と提案してきたのです。

私たちにとって非常にありがたい提案でしたが、現在団体交渉で扱っている案件で、資本からの回答待ちという状況だったことから、「後日相談させてもらうかもしれない」と、一旦保留させて頂きました。

この主任監督官が私たちの担当者です。黒い箇所にはキッチリと調査のメスを入れて頂けることでしょう。期待して待ちたいと思います。