日本労働評議会 高知県本部

【定例学習会】偽装請負とは?

高知県本で開催している定例学習会、今回のテーマは「偽装請負」です。




みなさんは「偽装請負」といって何をイメージされますか?


言葉通りに考えると、請負を装っているが実際は違うということですね。


請負というのは、「会社から仕事をもらっている」取引先のようなものです。会社に保険や年金、さらには最低賃金や残業代、有給休暇などを保証してもらうことはできず、仕事も自分の責任でやりくりしなければなりません。ただ一方では、自分次第ですから、裁量も認められ、自由もあります。具体的には、「一人親方」「オーナー店長」「業務委託契約」といった形になります。


しかし、昨今問題になっているのは、契約は「請負」であっても、実態は雇われ労働者である人が増えているということです。つまり、契約は「請負」であり、普通の労働者なら保証されるべき賃金や休日はないのに、実際の仕事では、会社からの指示、指導を守らなければならず、自由がないのです。


 


労評スリーエス分会は3年前につくられました。最初、労働者は請負契約でしたが、実態は直接雇用の労働者でした。給料は日給で固定、タイムカードで時間管理もされ、職人と言いながら営業活動を手伝わされたりもして、まるで労働者です。それなのに、「一人親方」として、税務申告を自分でしなければならならず、雇用保険もなく、閑散期には給料が保証されませんでした。


労評スリーエス分会は自分たちの状態は「偽装請負」だとして、会社と団体交渉を重ね、契約を「アルバイト」に変えさせました。また、「請負契約」だった時期の未払い分の残業代を請求し、支払わせることができました。


 


最近、労評で分会を立ち上げた労評ステージコーポレーションオーナー店長分会も同様の問題を抱えており、「オーナー店長」として労働組合をつくり、問題解決に取り組んでいます。


新聞記事にも取り上げられ、社会的にも注目を集めています。


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 「自分も似たような状況だ!」「自分の契約はどうだったかな?」と少しでも気になった方、どんなに小さな悩みでもお気軽にご相談ください。随時、労働相談(無料)を受け付けています!


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【定例勉強会】賃金に関わる労働問題とは?

高知県本では定例勉強会を行っています。今回のテーマは賃金に関わる労働問題でした。

 

「仕事をして、その分の賃金を貰う」

…これはしごく当たり前のことですね!しかし、この当たり前が行われないことが現実にはあります。不況と言われて久しいですが、会社が苦しいという理由で、給料の支払いが遅れたり、残業代が正しく支払われなかったりすることがあります。しかしこれは違法です。

例えば…
〇最低賃金

→会社が労働者に支払わなければならない、賃金の最低額を定めた制度です。

最低賃金には「地域別」と「特定(産業別)」があります。みなさん、自分の地域や産業の最低賃金をご存知ですか?ちなみに、高知県は時給762円、そして47都道府県で一番高い東京都は985円です。

もし、会社と労働者が合意の上で契約した賃金が最低賃金を下回る場合でも、法律によって無効とされ、会社は最低賃金額を支払わなければならないのです。

日給や週給、月給の場合では、賃金を時間額に換算して最低賃金額と比較してチェックする必要があります。

〇残業代、休日手当
→1日8時間、1週間40時間を超える場合、また休日出勤をした場合には、会社は割増賃金を支払わなければなりません。さらに、深夜帯(午後10時~午前5時)の労働についても割増賃金の支払いが義務付けられています。

今ではどんな職種でも残業が当たり前のようになっていますが、本来は「18時間、1週間40時間」が基準なのです。それ以上働くのは労働者にとって負担であり、もしもそれ以上働かせるのであれば、給料を多く払うのは当然ということです。しかも、会社は勝手に残業をさせてはならず、あらかじめ労働組合と会社で書面による協定を締結しなければなりません。労働基準法36条が根拠になっていることから、一般的に「36(さぶろく)協定」と呼ばれています。この「36協定届」を労働基準監督署に届けずに残業をさせた場合、違法になります。

 

〇気になることがあれば、ぜひご相談を!

改めて、自分の給料明細書を見てみてはいかがでしょうか?また、割増賃金や手当についてよくわからない場合は、就業規則を確認してみるのもいいかもしれません。就業規則なんてあったっけ?という方もいるかもしれません。10人以上の労働者(アルバイト等を含む)を使用する会社は就業規則があるはずです。就業規則の周知義務というものもありますので、申し出れば見せてもらうことができます。

 

労評では随時労働相談(無料)を受け付けています。
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高知県本の1月定例勉強会を行いました

1月の高知県本の定例勉強会を行いました。テーマは解雇、雇い止めについてでした。


みなさんは2018年問題をご存知ですか?

201341日に施行された労働契約法18条の問題です。

…と言ってもピンとこないかもしれませんね?

有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申し込みにより、使用者が期間の定めのない労働契約の締結を承認したものとみなす制度であり、無期転換ルールと呼ばれています。2013年4月1日に施行されているので、要件を満たすのが、最短で201841日でした。一見、「正社員が増える」「労働者の待遇改善がされる」といふうに見えるかもしれません。しかし、実際は、会社側がこの法律の適用を逃れるために、5年を超える直前に雇用契約を打ち切るなど、様々な策動を巡らせていました。

実際に、2018年に入るころから問題は発生しており、労評にも相談が寄せられています。その事例を紹介します。

事例1:5年以上契約を更新してきた女性労働者の事例です。

会社は、労働契約法18条発効の201841日を前にして、331日で契約を終了するという労働契約書にあらかじめ判を押させました。労働契約法18条を知っている労働者は少ないでしょう。この労働者もサインはしたものの働き続けることが出来ると考えていました。ただ、やはり不安があったので、労働局のあっせんによって雇用継続を希望したところ、会社は「65歳まで雇用を維持してきたが、これ以上は無理」というあいまいな回答で拒否してきました。確かに、この労働者は2018年で65歳になるのですが、雇用契約書には定年制はなしと明記されているので、年齢を理由とした雇い止めはできないのです。この労働者は弁護士に相談し、弁護士の紹介で労評に相談にきました。

 

事例2:20132月からこの会社で契約を開始している労働者の事例です。

労働契約法18条発効により、201841日から無期転換の資格を得ることになっていました。しかし、会社は事前に430日で雇用契約満了と通知してきたのです。その理由は、労働者の行ってきた業務がアウトソーシングになるので、業務がなくなるというものでした。雇用契約を反復して継続してきた労働者に対しては、合理的理由がなければ解雇契約の解除はできないことが、労働契約法19条に定められています。その趣旨からして、この程度の理由だけで雇い止め(解雇)することはできません。この会社は1万人以上の従業員を抱える企業であり、他の職場に配置することなど、できるはずです。

労評に相談に来て、団体交渉を行いましたが、会社はその労働者の人格攻撃をしてきました。つまり、協調性がない、職場で孤立している、上司にいつも口答えをしている、等々。5年以上契約を更新している間に、そのような注意を受けたことはなく、まさに言いがかりです。

 

このような問題が当てはまる方はいませんか?「もしかして自分かも…」「自分の状況に似ている…」という方はぜひお気軽にご相談ください!

高知県本では月一回、勉強会を行っています。労働相談の様々なパターンに対応していけるよう、具体事例を中心に勉強し、解決方法をシュミレーションしています。

皆さんの抱える問題についても取り組みや解決方法をご提案します。

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