日本労働評議会 高知県本部

HMI(ホテルマネージメントインターナショナル)への抗議、申入れについての報道

11月30日行った、HMI(ホテルマネージメントインターナショナル)株式会社が運営する加賀温泉(石川)の2つのホテルで、一度解雇と告げながら、十分な説明をせず退職合意書に署名させる”不当な退職勧奨”の件ついての記者会見が報道されました。

 

NHK「“コロナで不当な退職勧奨” 労働組合が国に対策検討訴え」年11月30

 

レイバーネット:「HMI社は二つのホテル閉鎖・全員解雇の責任を取れ!〜抗議と申し入れ」

 

抗議、申入れ行動についてはこちらから

「『HMI社は2つのホテル(石川・加賀) 閉鎖・全員解雇の責任を取れ!』抗議行動と申入れを実施」(2020-12-01


HMI本社の入るビル)


『HMI社は2つのホテル(石川・加賀)問題・全員解雇の責任を取れ!』抗議行動と申入れを実施

労評で取り組んでいるHMI社の2つのホテル「解雇」問題への闘争について報告します。

11月30日、労評は石川県加賀温泉郷の「ホテル大のや」と「ホテル北陸古賀乃井」を運営するにHMI(ホテルマネージメントインターナショナル)株式会社に対し、抗議と申し入れ行動を行いました。今回の行動は金沢駅前と東京のHMI本社で同時に行われました。

今回の至った経緯をブログにまとめます。

※これまでの闘いの経緯はこちらから    

 

 (東京・本社前と金沢駅前での行動の様子)

「解雇」を告げられた労働者が労評に加盟して立ち上がった理由

HMI株式会社はコロナ禍で観光客が激減するなかで、今年6月1日にいち早く石川県加賀温泉の二つのホテルを閉館しました。

7月、8月には予約も入っており、政府の雇用調整助成金制度もあるのに、頑張ろうと思っていた組合員の声も聴かず、ホテル閉鎖の理由もまともに説明せず、約70名を解雇したのです。

それだけではありません。解雇のやり方が許せません。

今年の6月1日、二つのホテルの統括支配人がそれぞれのホテルの従業員を集めて、「ホテルは閉館になる。皆さんは全員解雇になる。一か月前に通告するので、7月1日で退職です。」と告げ、「詳しいことは分からないので、本社から来た役員に説明を聞いて欲しい。」と述べました。

当然組合員は自分は「解雇」なのだと思っていました。
6月3日、本社の西村人事部長が来ました。皆を集めて説明するのかと思えば、本社2人と支配人と合わせて3人に囲まれて個別面談がされました。西村人事部長は「こういう状況なので退職していただきたい。」と、電卓を叩きながら「残った有休を買取らせてもらいます。」と言いながら金額を退職合意書に書き込み、おもむろにその退職合意書を差し出し、サインを求めました。

退職合意書をよく読む時間もありません。まして退職勧奨という意味も知りません。

大半の人はやむを得ずサインし、戸惑い、サインに躊躇する人には「断れば何も得られない」とか「強制ではないが前には進めない」などの脅し文句を述べて、無理やり退職合意書にサインさせたのです。

解雇というのは重い問題です。

生活が懸かっていますから慎重に考えたいのに、わずか数分でサインさせる強引さも含めて、HMI社のやり方は労働者をバカにしています。

   

HMI本社の入るビル)

5回の団交を重ねても会社は自分が取った行動を具体的に立証もしない呆れた無責任ぶり

労評はHMI社との間で5回の団体交渉を重ねています。

労評は6月1日の統括支配人の発言の録音を提出し、6月3日の個別面談での組合員の陳述を提出し、退職合意書にサインさせた行為が(ホテル閉鎖の事情説明もせず、退職勧奨の意味も伝えず、考える時間も与えず)不当・不法であると立証しました。
しかし、会社は自分たちの行為を法的にも事実的にも立証できず、ただただ「誠実に説明しました、皆さんは自分の意志で退職合意書に署名しました」と繰り返すだけです。

団体交渉で組合員から「嘘をつくな」と批判を受けても、石の地蔵を決め込んでいます。
私たちの要求は退職合意書を撤回し、改めてホテル閉館、解雇問題を話し合うことです。

コロナ禍でどの企業も苦しい経営の中、雇用を守るために尽力しています。

加賀温泉郷でも少しづつ観光客が戻ってきました。

本当にホテル閉館しか道がないのか、そのようなことさえ話し合いの場も持たれていません。

私たちはHMI社は企業としての責任を取ってもらいたいと思います。

私たちの雇用を維持できなかったことについて、誠実な釈明としかるべき生活保障をしてもらいたいと思います。


(金沢駅前での行動 観光客、地元住民など注目を集めた)

HMI社への抗議と労評組合員への励ましをお願いします!

コロナ禍を口実に「解雇」しておきながら「退職同意書」を書かせるような「不当な退職勧奨」行うを企業も増えています。

確かにコロナ禍で本当に苦しい会社があるのも事実です。しかし、今回のケースはコロナに乗じた騙し討ち行為と言っても過言ではありません。

この間、団体交渉の中で、ホテルを閉鎖するに至った理由は明確に答えることはできていません。

唯一、「こういう事情なので」と述べるに留まっています。

ホテルを閉め、加賀だけでも70名もの人の人生を路頭に迷わせた根拠を示すべきです。

これのどこが「誠実な」対応と言えるのでしょうか。

ましてコロナ禍で労働者だけが犠牲になるようなことは理不尽です。

HMI社の取っている行動に対して抗議をお願いします。

また、会社と闘っている組合員に激励をお願いします。


                  会社抗議先

HMI(ホテルマネージメントインターナショナル)株式会社
103-0016 東京都中央区日本橋小網町6-1山万ビル10
代表取締役社長:比良竜虎
代表電話 03-5623-3908

組合激励先
日本労働評議会
〒 169-0075 東京都新宿区高田馬場3-13-3-404
代表電話 03-3371-0589


【日本郵便】非正規労働者への諸手当と権利を実現しよう!

(現場は万年人員不足。各郵便局では、年中人員を募集するのぼり旗が掲げられている)

労評で取り組んでいる、日本郵便の労働者への情宣活動について報告します。

10月28日労評は葛飾労組連の仲間とともに、銀座井郵便局で定例情宣活動を行った。

情宣する内容は去る10月15日に最高裁で判決が出た、非正規労働者の諸手当の件である。

ご存じように、最高裁は10月13日の判決では、メトロコマース事件と大坂医科大学事件については、高裁判決を覆し、退職金、一時金の支給を否定した酷い判決を下したが、15日の日本郵便に関しては、扶養手当、年末年始手当、有給の病気休暇制度などを認めた。

しかし、これらの手当の支給について、過去の遡って支給しなければならないが、裁判の原告には支払い義務はあっても、一般の非正規労働者には支払われない。

 

銀座郵便局でそのことを訴え、最高裁の判決を活かして支払い請求をするために、組合に加入する呼び掛けを行った。

すると、どうであろう。普段はせいぜい2~3人の職員が見回りに来るだけだが、この度の情宣活動に対して、総勢10数人の職員を動員し、見張り役をさせたのである。

仕事を放り出して、監視役に職員を回すほど異常な警戒ぶりを見ても、日本郵便が神経をとがらせていることが分かる。

このことは、日本郵便が非正規労働者の立ち上がりを恐れていることの証左である。

日本郵便の半数の労働者は非正規労働者である。

正社員は御用組合であるJP労組が組織し、非正規社員は10%程度組織するという方針であるから、郵政ユニオンに加入している労働者(約2000人)以外はほとんど組合に加入していないのである。

日本郵便はこの度の最高裁判決に非組織の非正規労働者が反応することを恐れている。法的に確定した事項だから、裁判の原告になっていない労働者が請求すれば過去の分を支払わなければならない。

経済的損失ばかりでなく、非正規労働者が立ち上がり、隷属の支配秩序が揺らぐことを恐れている。

いかに日本郵便資本が粘土の巨人であるのか、分かるであろう。

 

好機である。

日本郵便の非正規労働者に呼びかけたい。

労評は日本郵便の非正規労働者の問題、なかでも65歳定年制撤廃に向けて運動を起こしている。

ぜひ労評と連絡を取り、一緒に経済要求を勝ち取ろう!


【石川・加賀温泉郷】HMI(ホテルマネージメントインターナショナル)による「解雇」問題で4回目の団体交渉が行われました


(JR西日本北陸本線「加賀温泉駅」 温泉街は新型コロナにより大きな影響を受けるも少しずつ観光客が戻りつつある)

 加賀温泉郷(石川県)でのHMI(ホテルマネージメントインターナショナル)による「解雇」問題についての団体交渉について報告します。

9・16 第3回団体交渉の状況

前回、9月16日に石川県加賀市で行われた第3回団体交渉では、資本は6月1日に総支配人が休業に至るやむをえない事情や経緯、退職をお願いすることなどをきちんと説明しており、手続き上も問題はないと強弁しましたが、団交に出席した組合員からはまともな説明を受けておらず、真意で退職合意書に署名したのではないと主張しましたが、平行線で終わりました。

 

★HMI(ホテルマネージメントインターナショナル)闘争の状況は以前のブログでも紹介させてもらいました。

10・12 第4回団体交渉では、「解雇した」の証拠を突き付けて資本を追求

10月12日、HMI社との第四回団体交渉が行われました。

組合は証拠として、①6月1日の統括支配人が説明した録音テープ、②6月3日の個別面談の状況を陳述した組合員らの陳述内容を出しました。

6月1日の統括支配人の説明会での発言の中には、頻繁に皆さんを解雇するという文言が出てきます。

また自分は詳しいことは分からないので、本社から説明に来るのでそれを聞いて欲しいという発言も繰り返されています。

退職勧奨による合意退職という意味も説明していません。

そして、6月3日の面談では退職合意書の用紙を見せて説明をせず、西村人事部長が有休残数買取り金額と残りの賃金金額を電卓で計算して書き込み、その後退職合意書を始めて見せてすぐにサインさせた経緯も明らかになりました。

つまり、組合員の前には退職合意書は置かれてないわけです。

自分で書面を読める状態になく、金額を書き込まれた書面を出されてすぐにサインを求められるのです。

書面を確認しようもありません。

ある組合員はしばらくサインをためらっていると、「印鑑を押すことを強制はしません。でも前には進めませんよ」と言われたということです。

組合員は前に進めないということは失業保険がもらえなくなると思って、やむを得ずサインしました。

これが退職勧奨をお願いする態度でしょうか。

明らかに組合員らを騙してサインさせたものです。

 

資本は逃げ口上を述べるも、「持ち帰って検討する」と回答

これだけ十分な証拠が揃っていながら、西村人事部長はなおも厚顔無恥にも、「私は統括支配人からちゃんと説明したと聞いています」と逃げ口上を述べました。

面談でも書類を渡していないことを認めながら、書類が見えるように説明したと言い訳し、リモートで現地から参加した組合員から嘘を言うなと激しい抗議を受ける始末です。

団交に参加した指宿弁護士からも「最高裁判例にあるように真意に基づかない契約は無効との判断が出ている」ことを突き付けられ、沈黙せざるを得ない状況に追い込まれました。

資本側の弁護士も防戦一方で、団交団から「西村人事部長では話にならない、弁護士の役割を果たすべきではないか」と迫られ、ウーンと言うしかない状態でした。

組合員らはこれから先も社長と直接談判に動く決意をしていること、これから記者会見を開いてマスコミに訴えることなど組合の姿勢を突き付け、また裁判をやれば勝てると考えているが、そこまで問題を大きくすることが会社にとって良いことなのかよく考えるべきだと述べました。

その結果、第4回目にして会社は持ち帰って検討するという回答をしました。

もちろん、本当に真剣に検討するかどうかわかりませんが、次回団交を10月29日とし、連続的に協議することを確認しました。

リモートで現地から参加した組合員も、会社の姿勢については不信感を強く持ちながら、一歩前進と感じています。

会社に責任を取らせるために、引き続き団結の力で扉をこじ開けていくことを確認しました。

団交の後に、厚労省記者クラブで記者会見を行いました。

コロナ禍での労働争議として取材をしてもらいました。また、加賀市の現地に集まったマスコミからは継続して取材を受けています。

 

コロナ禍にあって、労働者を一方的に使い捨てることは許されない

観光業はコロナ禍で多大な打撃を受けている産業の一つです。

しかし、雇用調整助成金もまだ使える6月1日の段階で、一方的に休館、解雇を決め雇用の維持に努力せず、解雇にあたっては退職勧奨という意味さえ知らない労働者の無知に付け込み、訳も分からないまま退職合意書にサインさせたことは、騙し討ちに近いものと思います。

労評はコロナ禍における重要な労働紛争として、引き続き取り組んでいきます。


【トライ春日PA分会 】【ミニストップ】 第3回団交報告

労評宮城県本部で取り組んでいるトライ春日PA分会の団交報告です。




【第3回団交が9
/9に開催されました】




団交には約束通りオーナーが出席しました。


要求と回答


    休業手当について。

 実際に手続きを行う労働局と相談したところ柔軟に対応する方向で検討するとのことで、改めて労働局と相談しながら、できるだけ休業手当が支払えるように努力するという回答になりました。国の助成金申請の締め切りが9月末なので、9月いっぱいで、休業手当の支払いができるかどうか明らかになります。


    オーナーの理念について

 オーナーからは「一生懸命まじめに汗をかく人には、トライはいい会社だと思ってもらいたい。いい店をつくりたい。」「そのために、一生懸命働く人には時給を上げたり、パートから正社員登用をしたり、核になる社員を育てるなどしている」など、回答がありました。 

 そのためにどんな教育システムがあるのか?と質問すると「現場のことは店長に任せている。店長が能力のあるパートから育てて登用している。」「決まった教育マニュアルなどはない」「正社員になったらオーナー自ら直接見ることにしている」というもので、理念を実現する仕組みは事実上ないことが明らかになりました。






【なぜ理念を問うのか?】


組合が理念を問うのは、本来、企業理念に基づいて会社経営し、理念の実現を目指して働くからです。理念が分からなければ会社の目標が分かりません。そのため、働く目的も、個人的な理由か、時給のためだけにしかなりません。

 本来、コンビニ労働は社会インフラを支え、災害時でも物資や情報拠点となるなど重要な社会的価値があり、その労働は尊いものであるはずなのに、ここの労働者はそのことも分からないまま、ただお金をもらうために仕事を回すことしか考えられない状況に置かれてしまっているのです。これでどうやって意欲を持って働けるでしょうか?


 


【労働者は会社を支え、組合が変えていける】


 結局、最も重要なことは、理念と別のところで、労働者が現場で日々の仕事を支えているから会社は回っているのです。オーナーの理念はただの言葉で、実際に利益を会社にもたらしているのは、労働者の力です。そして、会社の仕組みを作り変えていけるのは、労働組合です。今回の団交がなければ、そもそもオーナーの考えている理念さえわからず、形だけの店舗運営がなされたまま、労働者も働く意欲を持てないままだったでしょう。組合があるからこそ、オーナーの考えを引き出し、会社経営や店舗運営をどうしていけばよいのか検討し、交渉していくことができます。