日本労働評議会 高知県本部

ロイヤルリムジン 第4回団体交渉 報告

労評の東京都本部で取り組んでいるロイヤルリムジン闘争の報告です。

5月6日にロイヤルリムジンとの第4回の団体交渉が行われました。

前回までの交渉の経緯はこちらから。


◎団交での議論は平行線

今回も金子社長は、一人で現れました。

前回までの団交で一人では責任ある回答ができないことから他の2人の役員の出席を求めていたのにも無視した不誠実な対応です。

 

要求に対する回答も渋いもの。

一部賃金計算の間違いについては認め、支払うことを約束しましたが、それ以外の項目は議論が平行線です。

金子社長の回答は、「自分では分からない」「持ち帰って確認させてほしい」を連発。

組合員が強く要求している保証給の支払いについては、前回と「同じ60%を支払う」という回答。

社長は「資金がない」と今回も繰り返しますが、「ない」という根拠を示せと要求しても答えません。

さらに労評からは、雇用調整助成金の上限が増額されたならば、労働者の賃金に充てるのかと問うと、「それは分からない」とはぐらかした回答。

事業再開についても社長は「目黒自動車での再開を」と言いますが、組合員の要望である、一二三交通での再開の可能性やUber事業の再開の可能性については、できない根拠は延べません。

労評からは、他のタクシー会社がとっているように、全台稼働ではなく、台数を減らしてでも事業再開を目指すなど、具体的な策はないのかとさらに追及しましたが、ただひたすら「目黒自動車では再開できる」というだけです。

金子社長は1台タクシーを稼働させた場合、いくら売り上げが立つのか計算はできないが「たぶん赤字だと思う」から稼働しないということです。

金子社長の主張を我々は鵜呑みにはできません。

金子社長は、自分の観念的な見通しを押し通そうとするだけで、何一つ根拠に基づいた回答は出来ていないのです。

 

実際に、コロナの影響が出ていた4月であっても組合員は、一定の売り上げを上げていたのであり、一方的に「できない」とだけをつげるのはおかしな主張です。

 

労働者の雇用や生活を守るという最低限の経営者としての社会的責任を負うというところからの真摯な回答ではありません。

 

 ◎労評は金子社長の開き直りを許さず、徹底して闘います

さらに、今回の団交では、今回の一連の大量解雇の問題については、自分の経営判断に謝罪の意思はなく、メディアが先に「解雇」と報道したことが混乱の原因だと言います。

 

「事業停止」といったことを「解雇」と勝手に報じられたから問題が大きくなったと人のせいにしているのです。

 

これは、全く許せません。

 

「解雇」と書かれた退職合意書にサインをさせ、説明会でも「解雇」といい、離職票も出している。

「意図はなかった」といっても労働者に大いに誤解を招くようなやり方をしたこと自体が騒動を大きくし、多くの労働者を路頭に迷わせたことに対する社会的責任については、何の反省もしないというのは、厚顔無恥もいいところです。

 

金子社長は、働く意思のある人には職場を提供すると言っています。

労評は、社長のいう「目黒自動車だけでの事業再開」だけではなく、可能な限り、他の営業所でも再開を目指すことを要求します。

 

労評は労働者の生活を守るため、徹底して闘っていきます!

 


龍生自動車解雇事件・地位確認申立て~新型コロナを原因とするタクシー会社事業停止に基づく全員解雇事件~

 労評東京都本部で取り組んでいる問題について報告します。

東京・国分寺の龍生自動車(株)で新型コロナを原因とするタクシー会社事業停止に基づく全員解雇されたことに対して、5月8日、労評組合員が地位確認を求める仮処分を申し立てました。


先日、このブログでも団体交渉の経緯などを紹介させてもらいました。ブログ記事はこちら

組合員は3年前に労評に加盟し、経営管理に専念しない会社の経営体質の改善を要求してきました。

そのような中で、新型コロナを理由に突然かつ一方的な解雇通知は極めて不当です。

雇用に責任を負う経営者ならば、無責任な解雇はしません。

労評は、このような無責任な解雇を許さず、徹底して闘います。

 


5・9タクシードライバー コロナ労働問題緊急ホットライン開催します

 
解雇・退職強要された

ロイヤルリムジングループの運転手のみなさん

 

保障給の支払いを「凍結」された
日本交通の運転手のみなさん

 

すべてのタクシー運転手のみなさん

 

休業中の賃金(保障給含む)不払・減額、解雇等
何でも相談を受け付けます!

 

ホットライン開催の目的

東京に本社を置く「ロイヤルリムジン株式会社」が、グループ企業の事業を休止し全社員600名を一斉に退職させると発表したことが、コロナ禍による労働者の解雇として衝撃をもって受け止められています。

同社の金子健作社長は、解雇した労働者に「運行を続けると、皆さんの平均賃金が著しく低下する。

一日も早く退職することで、平均賃金が大きく下がる前に失業給付を受けて欲しい。」と説明していました。

しかし、会社は解雇通告をしておきながら、解雇予告手当を支払いたくないために、「『退職同意書』に署名しないと離職票を出さない。」と労働者の困窮に付け込み、労働者の真意に基づかずに「退職同意書」を集めました。

現時点では、会社は労働者の抗議に屈し、「退職同意書の撤回」を認めると言っていますが、それは、マスコミに大きく報道されたことにより自分の真意が伝わらなかったからだと責任を転嫁しています。

雇用を維持する努力を一切せず、労働者には事前に話し合いもせず、朝出勤したらいきなり「明日から事業を休止することにしたから来なくてよい。」というのは「解雇」以外の何物でもありません。

ロイヤルリムジングループ各社は、企業としての社会的公共性を放棄し、休業手当の手続きによって雇用を維持するという努力を全くせずに、雇用保険という税金で労働者の賃金を補填させればよいという、極めて無責任な企業です。

代表者は企業経営をする資格がありません。

日本労働評議会は、当組合に加盟したロイヤルリムジングループの労働者と共に、ロイヤルリムジングループ各社に対し、労働者の権利を守るため、休業手当として賃金全額を要求して闘っています。

この賃金100%という要求は、コロナ禍における雇用調整助成金の支給金額からいっても決して不可能な金額ではありません。

コロナ禍による営業収入の減少は、ロイヤルリムジンだけではなく、他のタクシー・ハイヤー各社においても「賃金減少による深刻な生活不安」と「感染の危険にさらされる不安」を招いています。

日本交通の新人ドライバーからは、「1年間、支払いが約束されていた保障給が、会社により勝手に『無期限の凍結』とされ、困っています。約束が違うし、生活ができません。」という相談が入っています。

また、龍生自動車では、事業の停止を理由に労働者が全員解雇されました。

日本労働評議会では、広くタクシー業界全体で働く労働者の方からの、コロナ禍における急激な賃金減少、その他労働条件の悪化、労働環境の保全についてご相談を受け付けます。

コロナ禍における緊急労働相談は、今後、ロイヤルリムジンのように解雇問題としてあらわれてくることが予測されます。


コロナ禍を理由にした無責任な不当解雇を許さない!

労評東京都本部で取り組んでいる闘争について報告します。


東京のタクシー会社、龍生自動車株式会社(東京・国分寺)は4月上旬に33名の労働者(乗務員及び事務所職員)全員の解雇を通告しました。


労評では、3年前に労働者が加盟し、龍生自動車と団体交渉を行ってきました。


過去の団交では社長が自らタクシーを運転し、「自分が少しでも稼いだほうが良い」と言い、経営管理に専念しない会社の経営体質の改善を要求してきました。


組合員の意見として、過去の内部留保を食いつぶしていくような経営態度であると述べているように、社長の熱意や責任感は感じられませんでした。


そのような中で、突然かつ一方的に「事業継続が困難である」と言い放ち解雇通知してきたことは、当然納得できるものではありません。


労評は速やかに団体交渉開催を申し入れ、4月24日に団交が行われました。


 


経営努力をしてこなかった無責任な資本


団交では、冒頭弁護士が作成した資料に基づき経営状態が苦しく、赤字から回復する見込みがないので「事業を廃止する」と言い、すでに債務超過に陥っている可能性があるとか、直近5年間ずっと経営が傾いており、社長の個人資産を投じて赤字を補填してきたが、ここにきて新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一従業員当たりの売り上げが一日に2万円を下回るなかで最低賃金も保証できない状況であるなど、とても経営を維持できる状況ではないなど説明をしてきました。


 


新型コロナ禍にあって、タクシー業界が苦境に立たされていることは事実であり、龍生自動車の経営状態も決して健全な状態ではないことは偽りではないことはわかります。


しかし、労働者の生活がないがしろにされて良いわけがありません。


コロナ禍のなかで、解雇されては、どのタクシー会社にも転職できず、労働者の生活と命は危機にさらされます。


労働者の雇用と生活を預かる経営者として、解雇を回避するための努力を必死になってやることは最低限の役目だと思いますが、この資本にはその熱意が感じられません。


さらに龍生自動車の経営の悪循環は今に始まったことではありません。


今回の団交でも、新人を全く入れる努力をしていないことについて、社長は「自分の経営努力が足りなかったのは如何ともしがたいが、小規模では難しい」と開き直ります。


この状況を招いた責任は果たしてどこにあるのでしょうか?


 


◎「計画倒産」ともいうべき不当解雇を許さない!


このように、小規模な会社だから大きなところには対抗できないとか、社長は自分に経営能力がないと言い訳を述べながらも、長年に渡り、然したる経営努力もせず、内部留保を食いつぶし、かろうじて会社の形を維持していただけです。


つまり、今回の「事業廃止」は事実上の「計画倒産」と言っても過言ではありません。


このような経緯がありながら、いくら現状が苦しいという点だけを並べられて、いきなり解雇を宣告されても納得はできません。


今回、会社は事業廃止をしたのであり、会社法人は潰れていません。


他の会社に譲渡しようと思えば、労働者の雇用を維持しながら他社に譲渡すればよいことであり、雇用に責任を負う経営者ならば、このような無責任な解雇はしません。


 


現在のコロナ禍の中で、タクシーの売り上げは大幅に落ちて、苦しい状況にあると思います。だからといって、無責任な解雇が許されていいわけがありません。


「自分のところも同じような状況だ」という思われる方、一人で抱え込まずに労評にご相談ください!


高知県本へのご相談はこちらまで。





ロイヤルリムジン 第3回団交報告

労評東京都本部で取り組んでいるロイヤルリムジン闘争の3回目の団体交渉が行われました。


 

(団体交渉が行われた目黒交通自動車株式会社) 

◎ロイヤルリムジンに対する労評の要求内容

労評がロイヤルリムジン資本に対して要求した内容は以下の通りです

前回までの交渉の内容はこちら

 


要求書

 

2020年4月29日

 

ロイヤルリムジン株式会社

代表者代表取締役 金子 健作 殿

 

日本労働評議会中央執行委員会

委員長 長谷川清輝

 

1、組合員の賃金及び休業補償

1)保証給の支払い

保証給の支払いは4名の組合員については40万円、1名の組合員が35万円を4月、5月分について約束通り支給していただきたい。また、A組合員は祝い金が支給されていないので、早急に支給していただきたい。

 

2)休業手当の支給

一二三交通の組合員については、4月10日まではシフトに基づきそれぞれ勤務していましたが、4月10日以降は貴社の一方的な事業所閉鎖により勤務ができなくなりましたので、100%の賃金保障をしていただきたいと思います。

 

3)雇用調整助成金の活用

政府は、助成金の枠組みをさらに緩和して、100%給付方針を打ち出しています。法的に見ても労働者は100%の賃金支払いを請求できます。このことを踏まえて、休業手当は100%の支給を求めます。

 

2、経営状況の精査

先回決算書を開示してもらいましたが、この決算書の信ぴょう性を検証するために貴社からの説明、文書提出を求めます。具体的には次の点を要求します。

 

・親会社であるロイヤルリムジンの決算書の提出を求める。

・グループ全体の連結決算書の提出を求める。

 

3、事業再開に対する方針

 貴社の説明によると、目黒交通自動車で30台を稼働して事業を再開するということです。当組合では次のように検討しました。

 ロイヤルリムジンのハイヤー乗務をしていた組合員及びジャパンプレミアムの組合員はこれまで通りUberを利用したハイヤー事業の再開を望みます。この可能性については、口頭で説明をします。それがすぐに難しいのであれば目黒自動車交通のタクシー業務を検討します。

 一二三交通の組合員は年齢も高齢であり、目黒まで通勤するのは困難であり、一二三交通の事業再開を望みます。聞き及んでいる範囲では、一二三交通の他労働組合の10人ほどが働き続ける意向を持っているとのことですから、一二三交通の事業再開は可能であると思います。

 

4、内定取り消しの損害賠償

 大阪在住のB組合員は2月に内定をもらい、4月4日にロイヤルリムジン東京の事務所に内覧に訪れ、東京に行く準備をしていたところ4月8日に内定取消の連絡を受けました。すでに前の会社を辞めて就労の準備をしていて、銀座の事務所に行って挨拶をした時にも何も言われず、その4日後に内定取消しをされて、人生設計が大幅に狂ってしまった。その補償をどうするのか、見解を出してほしい。


 

これらの要求に対して、団交の席で金子社長からは次のように回答がありました。

 

◎矛盾だらけの呆れた社長の回答 

休業補償については、社長は労基法の規定にそって直近3か月の平均賃金を基礎に計算して6割の支給と主張。

労評はそれでは、もともと約束していた保証給の支払いと話が違うため、あくまでも保証給の金額を基礎に計算するように求めました。

金子社長は、「労基署に聞いた」「社労士に聞いた」「他の労組から情報をもらった」など色々な言い訳を述べ、この点については平行線で結論には至っていません。

金子社長は、「原資がない」と言いながらも6割なら支払えるが、10割は支払えない根拠は何ら示しません。

 

労評は5人の保証給を100%、4月分、5月分支払えという要求を掲げて交渉し続けることになります。

残りの組合員(一二三交通の組合員)は100%の休業手当を支払うことを要求して交渉が続きます。

組合員のうち4月5月6月が保証給とされている組合員については保証給を資本側が支払う義務があることは、民法上の規定からも法的根拠のあること(民法130条)なので、コロナ問題があるにせよ請求する方針です。

 

休業補償60%では1,2,3月の平均賃金から算出するわけですから、実質的に通常の賃金の半分に満たない金額になります。

情報によると同じタクシー業界の他社では、御用組合でさえ、75%の休業手当を要求しているわけですから、60%は話になりません。

 

なお、念のためですが、労評が100%要求しているのは民法上の規定に基づいて賃金全額支払いを請求しているのであり、休業手当を100%支払えというものではありません。

 

事業再開については、目黒自動車交通で32台の車両で5月16日に操業を開始する予定とのことです。

それまでに人員を確保したいと述べています。

この点についてもどのような形で再開し、また乗務を希望する労働者をどのような条件で働かせるのか、会社との協議は継続です。

 

内定取り消しの件もまったく無責任なやり方で許せませんが、この点は事実確認をするという回答で次回以降の継続の交渉議題となります。

 

◎ロイヤルリムジンとの争議は継続している!

金子社長は解雇問題は解決し、事業再開の方向で今回の一連の争議はあたかも終了したかのように考えているのかもしれませんが、とんでもないことです。

 

金子社長は

「不可抗力で事業が停止してしまった。コロナウイルスの影響で売り上げが減ってしまったことは天災のようなもので、債権者もいずれ分かってもらえると信じている」

などと言いました。

不可抗力だというならば、真摯に謝罪の言葉を述べるべきですが、一言もありません。

まだ社会的責任を取っていないし、自分のやってきたこと(企業としての社会的公共性に反した解雇)に対して謝罪もしていない。

会社に団交を申し入れた一部組合員が解雇撤回をされただけです。

記者会見を開いて全従業員に対して謝罪と解雇撤回をすべきである。

 

これから事業再開をするうえで労使の協力は欠かせないが、約束した保証給への支払いについても配慮しようとしません。

休業手当の金額も労働者の生活に配慮しない。

政府も100%の休業補償を推奨し、企業もできるだけ休業補償をしようとしている。

法律通り平均賃金の60%としか言わない会社の態度で、事業再開に協力を得られるわけがない。

労評は、今回要求書で求めた内容が最低条件であり、これらが認めない以上、争議は終息しないと考えます。

 

次回の団体交渉は、5月6日13時から目黒自動車交通で行われます。

 

◎労評に加入して、雇用継続を要求しよう! 

今回までの交渉で組合員で、雇用継続を求める人については、金子社長は雇用関係を認めています。

納得がいかず解雇された方、諦める必要はありません。

また、労評は、資本が雇用関係を認めるならば、労働者が安心して、納得して働くことのできる条件が整うまで、決して途中で要求は下げません。

今回要求している、休業補償など、企業、経営者としての最低限の責任を果たさせ、ロイヤルリムジンを労働者が働きやすい会社へと生まれ変わらせましょう。