日本労働評議会 高知県本部

ロイヤルリムジン第9回団体交渉報告―労使交渉は「一歩前進」―

労評東京都本部で取り組んでいるロイヤルリムジン闘争について報告します。

労使交渉は「一歩前進」

去る7月2日、ロイヤルリムジン第9回団体交渉が行われました。

これまで交渉は平行線を辿り、ロイヤルリムジン資本も誠実な対処を避け続けていました。

※前回までの団交はこちらから

 

今回は対応が変わり、社長から労評の要求に対する回答と提案が出され、一歩前進の局面が作られました。

この間の労評の要求に対して、ロイヤルリムジン資本から提案された内容は大きく次の項目です。

 


①資本は労働者の解雇をしていないことを認め、金子社長をはじめ、ロイヤルリムジングループ各社の社長の署名、捺印をした公的文書を1週間以内に労評宛てに送付することを約束する。

 

②これまで「退職合意書」に署名させられた労働者について、本人からの不退職の申し出、希望があれば会社は「退職合意書」を無効とすることを約束し、このことも文書に明記する。

 

③今後、労資で合意した事項があれば、労働協約として公的文書を残す。

 

④休業補償手当について平均賃金の90%を支払う。

この点については、一二三交通の場合だと、これまでの9000円×16=14,4000円の回答と比べれば9000円×24=216,000円となり、資本は7万円超引き上げた回答です。

労評の休業補償手当要求は賃金の90%〈324,000円〉~100%〈360,000円〉で、平均賃金の90%とする会社回答と約108,000円の隔たりがあります。また、ロイヤルリムジン東京の場合は、保障給30万~40万円なのでもっと高額になるはずです。

 

⑤これまで支払いを拒否していた労評員M氏への「祝金」30万円を、9月1日事業再開の1ヶ月後に支払うことを約束する。

 

⑥これまで支払いを拒否していた新人労働者(5~6名)に対する保障給の未払い分(5月分、6月分)について、月35万円の労働者には月30万円、月40万円の労働者には月35万円と5万円減額したうえで、事業再開後に支払うことを約束する。

 

⑦労評の掲示版(546㎜×812㎜)の設置を認める。

 

⑧労評の組合事務所の設置については、会社の建物も古くなっており事務所の設置はできないが、会社会議室の一部屋(約6名入れる)について組合用務での使用を申請すれば認める。


 

労評は、この一歩前進した会社の回答を評価し、交渉で労使関係を次の段階へ進める環境が見えてきたと言えます。

今回の団体交渉を起点とし、さらに労働者の権利を守り資本と対等に交渉して労働環境、就業環境を整え、労働者が誇りを持って仕事ができる会社を創り上げていくため、引き続き取り組みます。

 


日本交通・日本交通グループをはじめ、保証給を凍結・廃止されたタクシー会社で働く新人乗務員の皆さんへ 労評に結集し、会社に未払いの保証給を請求しよう!

労評東京都本部で取り組んでいるタクシー会社の闘争について報告します。


日本交通および日本交通グループは、入社時に約束した新人乗務員の保障給を、コロナ禍で営業収入が減少したことを理由に一方的に無期限凍結にしました。

この凍結措置により何人もの新人乗務員が職場を去ることになったほか、保障給を当てにして地方から上京してきた乗務員のなかには、家賃を払うことができずに途方に暮れる者もいます。

私たちはコロナ禍においてタクシー労働者向けのホットライン活動を行ってきて、この問題を知りました。
この問題を解決するため、6月20日に日本交通三鷹営業所前でのビラ巻きやマイク宣伝を行い、6月27日、28日には労評顧問である指宿昭一弁護士による説明会を開催(6月15日から労評ホームページで宣伝)するなど、積極的に抗議活動を行いました。

その結果、6月29日、ついに、日本交通は保障給の無期限凍結を解除すると通達を出しました。
しかし、通達は、保障給制度を8月給から再開するとした一方で、5~7月給は保障対象期間の算定から除外するという契約違反を繰り返す内容でした。

未支給となった3ヵ月分については保障期間を延長して支給するといった内容になっているため、一見問題の無いように見えますが、通達が出された時点で5,6月分の保障給は確定していますので未払い賃金です。

つまり、支給していない現状は法律違反となります。
コロナ禍で資金繰りが苦しくなったからと言って、会社が一方的に保障給を凍結・廃止することは法律的にできないことを全く理解していない内容です。

まるで、新人乗務員が保障給を「未払い賃金」として請求してくることが無いと、足元を見て強気に出ているようです。
退職者が出た際に有耶無耶にしようという計算高さもうかがえます。

日本交通がこのように一方的に契約を反故にしても許されると思い込んでいる背景には、戦わない労組の存在があるのは疑いようのないところです。

労使の癒着体質や会社の労働者軽視の経営姿勢を改めさせない限り、今後もやりたい放題のことをされて、労働者の基本的な権利も守れなくなるでしょう。

日本労働評議会(労評)は、どこの職場に働く労働者でも一人で加入のできる合同労組(ユニオン)です。

もちろん、試用期間中でも加入できます。

日本交通以外のタクシー会社で保障給を凍結・廃止された乗務員さんも、ぜひ、日本労働評議会(労評)に加入して、会社に対して保障給の支払いを求めましょう。

 

(関連記事:「日本交通で新分会を結成、公然化! 第1回団体交渉が行われる」

労評に加入し、労働者軽視、利用者軽視の経営姿勢を
改めさせ、労働環境を向上させましょう。


加賀温泉郷(石川県)でのHMIホテルグループのホテル閉鎖に伴う「解雇」問題について、団体交渉を行っています

コロナ禍で最も痛手を受けている業界の一つに観光業界があります。

ホテル業界の大手チェーンの一つであるHMIホテルグループは約50のホテルのうち、石川、秋田、宮城などのホテルを閉鎖しています。

しかし、そのやり方はタクシー業界のロイヤルリムジンと同様であり、突然労働者を解雇しながら、合意退職のように装い、わずかな有休の買い取りで路頭に放り出すものです。

新型コロナ禍で経営が行き詰ったとことを労働者に転嫁することは決して許されません。

『【石川】全従業員70人に解雇通告 加賀温泉郷2旅館「長期休館」(中日新聞・2020年6月6 )』

 

◎突然の「解雇」通告 わずか5分の面談でサインを迫られる

今回相談を受けた労働者が働いているのは石川県加賀温泉郷にあるホテル大のや。
このホテルは創業270年で、江戸時代から続く老舗の旅館でしたが、HMIグループに買収されて今に至っています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今年の2月ごろからキャンセルが出始め、3月になるとキャンセルが続出し、4月は営業する日が5~6日しかなくなったため、5月は全館休業に入りました。

その間、休業手当は90%は出ていました。
6月1日に総支配人が全員を集めて、「ホテルが閉館になった」と説明をしました。

突然のことで当然会場は騒然となり、労働者から「解雇なのか」と質問をすると、「そういうことになるが、自分は何もわからないので、6月3日にHMI本社から役員が来て説明をするので、面談に応じて欲しい」と述べました。
そして、6月3日午後2時から始まるとのことでしたが、先に石川県内の同じHMIグループのもう一つのホテル北陸古賀乃井で説明が長引いて、実際に大のやに来たのは午後4時近くになりました。
行われた面談は、もともと一人あたり5分の予定で組まれて、本社役員は一人5分位の時間で「ホテルが閉館になるので、退職してほしい。残った有給は買い上げてお金を支払うので」というような説明で、退職同意書にサインを迫りました。

解雇なのか、退職なのかもはっきりせず、説明があまりにも不足し、あまりにも一方的で強引なやり方に納得できない労働者が労評に加盟しました。

◎7月1日に第1回団体交渉を行いました

7月1日、団体交渉を行いました。
会社側は、担当の本社役員含め2名と、弁護士が出席しました。
労評が会社に要求したのは次の項目です。
まずは今回の経緯を会社が正確に、誠意をもって労働者に説明をしなければなりません。その点を重視して交渉を行いました。

1.説明会をもう一度開いて、労働者個々人の要求を聞いて、対処すべき

これに対し、会社役員は全体の説明会は開かないと言いましたが、説明が必要というなら、個別面談については何度でも足を運ぶと言いました。

2.退職同意書は真意でサインしたのではないので、もう一度交渉したいという人がいたら、誠実に交渉すべき

会社役員は口ごもりながら、雇用を継続したいなら転勤先の希望は考えるなど、対応することは述べました。

3.解雇した労働者に特別退職金を出すべき

会社役員は否定しましたが、社員には退職制度があるので会社都合で出していると言いました。

組合は社員には退職金を加算すべきだし、パート・アルバイトでも特別退職金を出すべきと主張しています。
そして、最後に組合員の雇用の保障を求めました。会社は輪島にあるホテルに転勤して欲しいと言いました。もちろん片道車で4時間かかるところに通勤できるかどうか、検討しなければなりません。

次回も団体交渉を行うことを確認しました。

◎HMIから解雇された皆さん、退職同意書を撤回し会社と交渉しよう!

ホテル大のや、ホテル北陸古賀乃井に勤務していた労働者の皆さん。

皆さんはHMI社から退職同意書にサインするよう求められ、自分の真意ではなく、仕方なくサインした人も多くいると思います。

ホテル閉鎖と言われて、頭が真っ白になって、退職同意書にサインする以外にないと考えたと思います。
しかし、HMI社のこのやり方は決して誠実なものではなく、「人を騙す」ものなのです。

ホテルを閉鎖して事業再開のめどが立たないというなら、それは「労働者を解雇する」ということなのです。

解雇するために、会社は事業閉鎖に至った経緯、解雇以外に方法がないことの説明を時間をかけてしなければなりません。そして、解雇にあたっての補償などを話し合わなければなりません。

退職勧奨はごまかし、たった5分で済ませる問題ではない!
退職勧奨は解雇をごまかすやり方です。

労働者が自主的に退職した形にして、解雇予告手当を支払わない、ずるいやり方です。

そして、わずか数分でサインさせるのも、ひどいやり方です。

解雇という重要なことを家族と相談する暇も与えないのは考えられません。

雇用継続に努力すべき!
会社は解雇回避の努力をする義務があります。

HMI社は能登半島にホテルがあります。

転勤しても働きたい人には雇用を保証すべきなのです。

有休の買い上げで済ませる問題ではない!
解雇にあたって、有休の買い上げで済ませるとはなんと不誠実なのでしょう。
再就職もままならない労働者に対して、特別退職金を出すべきです。

ホテルは閉鎖しても、会社は存続しているのですから、会社として解雇者に保証するのは当然だと思います。
諦めずに、ぜひ組合に相談して下さい。

皆さんの退職同意書は無効と考えられます。

一度サインしたからだめだと諦めずに、組合に入って一緒に交渉しましょう。

労働組合は労働者の労働と生活にかかわる問題を扱う組織です。

ぜひ連絡してください。



【労評アート労組】アート引越センター裁判報告

横浜地裁で、未払い残業と引越事故賠償金返還の請求が認められました!



 
(判決後の記者会見の様子)
 

労評アート労組では、アート引越センター横浜都筑支店の元従業員3名の原告団が未払い残業代と引越事故賠償金の問題について、2017年10月に提訴し裁判闘争が行われていました。

約2年9ヶ月の期間を経て、先日の判決が出されました。

 

関連記事 『【速報】アート引越センター裁判は「一部勝訴」の判決!』

 

判決の内容は、原告側「一部勝訴」。

ポイントを以下にまとめました。

 

今回の判決のポイント

横浜都筑支店における出勤時間と実務時間の違い



アート横浜都筑支店では当時、7時には来るよう指示があり、7時~7時5分の間に従業員が出勤し、ユニフォームに着替え準備を行っていました。

また、7時10分にはラジオ体操が流れ、それを合図に皆が集まり朝礼をしていましたが、その準備に要した時間のすべてが労働時間に含まれておらず、毎日7時30分以降が勤務時間になっていたのです。

判決では準備時間が認められ、7時10分を標準的な始業時刻として認めました!

 

引越事故責任賠償金




引越事故責任賠償金(以下、賠償金)は制度に基づいて運用することで、労働者から1件につき上限を3万円とした賠償金支払い義務が生じます。

しかし横浜都筑支店では事故報告書に「制度上の同意する旨を記載」もしておらず、「署名捺印」もしていません。

判決では「本規定に基づく賠償金であるとは到底認められない」「不当利得として返還すべきである」と認められました!

また、原告の1名が賠償金名目で7万円を支店長へ手渡しした事実も不当なものであると認められており、この制度が形骸化していることが暴露されました。

 

通勤手当について

正社員には通勤手当支給規定があるにもかかわらず、常勤・一般アルバイトにはないという実態がありました。

これは労働契約法第20条に違反する行為であり、当時常勤アルバイトであった原告に対し、通勤手当と同額の損害賠償請求権が認められました!

柏支店では今でも支払われていない一般アルバイトの方もいるという情報もあり、全社的には支給規定のある正社員でさえ支払われていないという実態もあります。

 

「偽装組合」の問題

アート資本のずさんで悪質な経営、どんぶり勘定賃金の実態が裁判闘争で暴露されました。

特に賠償金制度でお金を払ってしまった労働者は、不当利得により過去10年分を取り戻せる可能性が非常に高いです。

そもそも、なぜこのような労働者に不利益が生じる制度がまかり通っているのでしょうか?

それはアートの内部に「偽装労組」が介入しているからであり、この偽装労組が会社の一部分として機能し労働者の権利を脱法的に利用しているからなのです。

横浜地裁ではこれに対し不当判決が出されているので、東京高裁へ控訴を行い、労働者による活動実態がない偽装労組の存在を引き続き暴露していきます。

 

 

労評に加盟し、一緒に要求しましょう!

 

社用携帯の支給についても労評アート労組の成果の背景があります。

支給されていない当時、会社は業務中にかかる通話代について「スーツを買うお金を会社に要求しますか?それと一緒です」ととんでもない発言までしています。

つまり、おかしいことは声をあげないと何も変わらないのです。


太陽自動車株式会社(東京・葛飾)で新分会結成!



(労評分会の結成を労働者に伝えるビラまき)

 

6月29日、日本労働評議会(労評)太陽自動車分会結成大会が開催されました。

労評は、ロイヤルリムジンの労働者600名一斉解雇とも闘い、労働者の利益のためにタクシー各社で活動しています。

その労評に、太陽自動車で働く仲間が加わり、労評太陽自動車分会を立ち上げました。

そして、7月2日、会社に対して、組合結成を通知し、あわせて、要求書、団交申入書を手渡しました。

 

労評太陽自動車分会の当面の要

労評は会社に要求書を提出しました。

 


 

一、労働契約の不利益変更、雇止め、解雇などをおこなわないこと。

会社は、コロナ禍で利益が落ちたことを理由に、成績の振るわない乗務員の乗務時間削減、雇止めなどをたくらんでいます。しかし安易な合理化は経営の怠慢です。会社の経営努力、乗務員への指導不足が問題であり、一方的な不利益変更、雇止め、解雇などには絶対に反対します。

 

二、休業手当ではなく、賃金全額補償をすること。

会社は、コロナ禍での休業補償として70%を出しています。しかし、会社の経営上の理由で休業したのだから、会社は賃金全額の支払いをすべきです(民法536条2項)。他社でも100パーセントの賃金補償をしているところもあります。私たちは、さかのぼって、差額分の支払いを要求します。

 

三、全労働者に対し、通知を公平におこなうこと。

 

四、社宅としては家賃が高額すぎるので、減額をおこなうこと。

 

五、KM無線講習などへの出席者に適正な賃金を支払うこと。

 


 

 

以上の要求項目は、労評分会に集まった仲間で相談して決めました。

労評太陽自動車分会は、民主的に相談して何事も決めます。

太陽自動車、東京太陽の分会員が増えれば、新たな参加者の意見も重んじ、今後の活動方針を決めていきます。

労評の活動原則は、「有理・有利・有節」です。

これは、社会的に道が通り、労働者の益が守られ、会社が誠実に対応してくるなら度を持って対応する、という意味です。

まずは、会社のだらしなく淀んだ体質から変えていかなければなりません。

 

太陽自動車、東京太陽の新たな歴史が始まる!労評に加入しよう!

新型コロナ感染拡大で顧客が減り、大幅に売上げが下がっています。

会社は、10億円の融資を受け大変な状況なので、「理解と協力」を求めるなどと泣き言を言います。

しかし、会社は「理解と協力」などと言って、ずるがしこく労働者に負担を押し付けようとしているのです。

それどころか、あわよくばコロナを口実に労働者の切り捨てを狙っています。

しかし、問題は、労働者の能力不足ではなく、会社の放漫経営や乗務員への指導不足、つまり経営者の怠慢にあります。

会社のいい加減なやり方を変えさせないと、割を食うのは、私達労働者です。

また、コロナ禍の中、会社は方針をコロコロと変えました。

しかし、通知が全員に公平にいきわたることを怠ったため、乗務員間の情報格差が生まれ、知らない人は損をする状態です。

こういう会社の状態を変えようと、仲間が立ち上がりました。

みなさん、労働者の唯一の力は、団結の力です。

労評分会に入って、納得して働ける会社に変えていきましょう!