日本労働評議会 高知県本部

高知県本の1月定例勉強会を行いました

1月の高知県本の定例勉強会を行いました。テーマは解雇、雇い止めについてでした。


みなさんは2018年問題をご存知ですか?

201341日に施行された労働契約法18条の問題です。

…と言ってもピンとこないかもしれませんね?

有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申し込みにより、使用者が期間の定めのない労働契約の締結を承認したものとみなす制度であり、無期転換ルールと呼ばれています。2013年4月1日に施行されているので、要件を満たすのが、最短で201841日でした。一見、「正社員が増える」「労働者の待遇改善がされる」といふうに見えるかもしれません。しかし、実際は、会社側がこの法律の適用を逃れるために、5年を超える直前に雇用契約を打ち切るなど、様々な策動を巡らせていました。

実際に、2018年に入るころから問題は発生しており、労評にも相談が寄せられています。その事例を紹介します。

事例1:5年以上契約を更新してきた女性労働者の事例です。

会社は、労働契約法18条発効の201841日を前にして、331日で契約を終了するという労働契約書にあらかじめ判を押させました。労働契約法18条を知っている労働者は少ないでしょう。この労働者もサインはしたものの働き続けることが出来ると考えていました。ただ、やはり不安があったので、労働局のあっせんによって雇用継続を希望したところ、会社は「65歳まで雇用を維持してきたが、これ以上は無理」というあいまいな回答で拒否してきました。確かに、この労働者は2018年で65歳になるのですが、雇用契約書には定年制はなしと明記されているので、年齢を理由とした雇い止めはできないのです。この労働者は弁護士に相談し、弁護士の紹介で労評に相談にきました。

 

事例2:20132月からこの会社で契約を開始している労働者の事例です。

労働契約法18条発効により、201841日から無期転換の資格を得ることになっていました。しかし、会社は事前に430日で雇用契約満了と通知してきたのです。その理由は、労働者の行ってきた業務がアウトソーシングになるので、業務がなくなるというものでした。雇用契約を反復して継続してきた労働者に対しては、合理的理由がなければ解雇契約の解除はできないことが、労働契約法19条に定められています。その趣旨からして、この程度の理由だけで雇い止め(解雇)することはできません。この会社は1万人以上の従業員を抱える企業であり、他の職場に配置することなど、できるはずです。

労評に相談に来て、団体交渉を行いましたが、会社はその労働者の人格攻撃をしてきました。つまり、協調性がない、職場で孤立している、上司にいつも口答えをしている、等々。5年以上契約を更新している間に、そのような注意を受けたことはなく、まさに言いがかりです。

 

このような問題が当てはまる方はいませんか?「もしかして自分かも…」「自分の状況に似ている…」という方はぜひお気軽にご相談ください!

高知県本では月一回、勉強会を行っています。労働相談の様々なパターンに対応していけるよう、具体事例を中心に勉強し、解決方法をシュミレーションしています。

皆さんの抱える問題についても取り組みや解決方法をご提案します。

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