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日本労働評議会 高知県本部

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【プレスリリース】「残業代ゼロ」の賃金制度が許されるのか?-トールエクスプレスジャパン事件 2019年3月20日判決!- 

来る2019年3月20日13:10から、大阪地裁本館809号法廷で、トールエクスプレスジャパン事件の判決が出ます。

期日後に、下記要領で記者会見を行います。

 

弁護士 指宿昭一

〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4丁目28番19号
きりしまビル4階 暁法律事務所

TEL03-6427-5902 FAX03-6427-5903

弁護士 中井雅人

〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満4丁目5−5

      マーキス梅田601 暁法律事務所

TEL06-6948-6105 FAX06-6948-6103

 

記者会見 3月20日14時30分 大阪地裁司法記者クラブ

     会見者 原告訴訟代理人弁護士 指宿昭一・中井雅人

         日本労働評議会大阪府本部役員 原告代表

 

トールエクスプレスジャパン株式会社(代表取締役社長 熊谷 義昭、本社・大阪市淀川区)では、時間外手当の大半を支払わない「残業代ゼロ」の賃金制度を採用しています。

同社の賃金計算は、時間外手当Aを形式上支払ったことにして、能率手当の計算で時間外手当Aを差し引いているため、割増賃金(時間外手当A)が給与計算から消えています。

つまり、同社は、実質的に、割増賃金(時間外手当A)の支払いをしていないことになります。

同社のように、賃金計算で時間外手当を差し引き実質的に割増賃金の支払いを逃れる「残業代ゼロ」の歩合給制度は、トラック・タクシーなどの運輸・交通産業で多く採用されており、社会的に強い批判を受けています。

本件判決は、同社のトラック運転手9名がこのような賃金制度に疑問を持ち、労働組合(日本労働評議会トール広島分会)を結成して同社と団体交渉しても同社が不払賃金の支払いを拒否したので、2016年6月14日、未払い賃金請求訴訟を大阪地裁に提訴した事件の判決です。

その後、他支店の運転手も提訴し、現在、原告は16名にまで拡大しました。

本件と類似の事件であるタクシー会社の「国際自動車事件」は、現在、最高裁で判断が待たれていますが、本件は、トラック会社であるという違いがあります。

運輸・交通産業で多く採用されている「残業代ゼロ」の歩合給制度に対する判決であり、社会的影響の大きな事件だと思います。

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労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告③

労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組の裁判報告、第三弾です。

◇裁判報告第三弾 「労基法37条の趣旨」

労基法37条は、残業に対し割増賃金を支払うよう使用者に強制する法律です。

この労基法37条の趣旨は

時間外労働について割増賃金を課すことによって、その経済的負担により時間外労働を抑制すること、及び通常の労働時間に付加された特別な労働である時間外労働に対して一定の補償をさせること

にあります。

 

ところが

「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」であるから、残業をしても残業代支払いの負担は、被告会社に生じない。

能率手当+時間外手当A=(賃金対象額-時間外手当A)+時間外手当A=賃金対象額

となる。

 

このように幾ら残業させても被告会社は、残業割増賃金を支払わずに、つまり会社は全く経済的負担を負うことなく集配職員や路線職員、整備職員に残業をさせることができる。

 

◇証人尋問における裁判官の質問

裁判官も上記の労働基準法の趣旨から、被告会社証人対し、

使用者, 会社の側に対して,そういう一種の割増しの義務を課すことによって, 会社が長時間の業務命令をしないようにするという目的もありますよね。

と確認し、その上で

労働者のほうで, むやみに長時間になってしまうというような特別の事情

があるのかと問い質した。

 

これに対し、被告会社証人は、

ドライバーというのは, 支店の外に出て仕事をしている時間帯が長いので, その時間帯に, サボっていると言うと語弊があると思うんですけれども, 我々が直接見て, 指導できないので, 意識としてきちんと持ってもらいたいというふうには, 常々思っています。

と的外れな証言しかできなかった。

 

この証言に対し、裁判官から

先ほども, 例としておっしやったみたいな, すたすたと小走りぐらいで行けばいいのに, だらだら歩いてしまうような, そういう懸念もあるということなんですか。

と質問し、被告証人は

そうですね。

と証言する。

 

皆さん、被告会社の証言、どう思いますか。

能率手当という賃金規則をつくる特別な事情があるのかという裁判官の質問に対して、被告会社の証言はムチャクチャです。

最終的には裁判官が審判をするが、次のことは言える。

 

会社は、労基法37条の趣旨に反して、残業代という経済的負担を負っていない。

しかも、残業代を支払わずに、賃金対象額の増加分しか労働者に支払っていないのだから、会社は丸儲けである。

なぜなら会社は、賃金対象額以上の金額で運送を請け負っていから、残業をさせればさせるほど利益を上げることができる。

つまり裁判官が残業割増しの義務を会社に課すことで「会社が長時間の業務命令をしないようにするという目的もありますよね。」と被告会社証人に確認したが、これに反する。

 

大阪労働局は

平成25年、大阪府内では、トラック運送業の労働災害は1,169件発生しました。

その内訳を みると、荷の積み卸し(荷役作業)中の災害が67%を占め、交通事故8%を大きく上回っています。

また、荷役作業中の労働災害としては、墜落・転落が268件で最も多く、その発生場所内訳 をみていくと、その4分の3以上が配送先(荷主等)で起こっています。

と荷役作業中、しかも荷主先での労災多発に対し重大視し、行政指導している。

このことからも荷主先で小走りして荷役作業をしろという、裁判所での被告会社証言は全く受け入れらないだろう。


 
◇いよいよ320日、大阪地裁で判決が下る

大阪地裁の判決日が、本年3月20日に決まりました。

裁判の原告は、労評トール広島分会を結成し、「残業代を支払え」と裁判を起こすとともに、集配労働者の地位向上と待遇改善を求めて闘って来ました。

全国の支店で集配労働者の人手不足が深刻化しています。

荷物を運ぶ労働者が居なければ、会社は成り立ちません。

配達時間帯、集荷時間帯を守るよう必死で努力している集配労働者に対し、支店外でサボる可能性があるなどというのは、われわれ労働者に対する侮辱です。

このような会社に未来はありません。誰が稼いでいるのか、現業労働者が稼いで会社は成り立っています。労評と共に、このような会社の考え方を変え、働き甲斐のある会社に変えていこう。

 


日本郵便と「65歳以上の雇用」を求めて交渉を開始しています

 

現在、労評で取り組んでいる日本郵便での団体交渉について、報告します。

◇65歳以上の雇用確保のために私たちは起ち上がった

全国の郵便局で働く皆さん。

私たちは今、日本郵便に対して「65歳を超えて働きたいという労働者を雇用すべき」という要求を掲げて、団体交渉をしています。

団体交渉の中心になっているのは、かつて栃木県佐野郵便局を2011年に解雇された労働者です。

知っている方も多いと思いますが、日本郵便は2011年に全国で1万3千人の65歳以上の非正規労働者を一斉に解雇しました。

これは明らかに不利益変更であり、これを不当として裁判で争った9名の原告の訴えは、昨年9月に最高裁で退けられました。

裁判の判決が真実を反映しているわけではありません。

日本郵便のやったことは、不当で不合理なものです。

だから、原告はあきらめず、労評に加盟して団体交渉を行っているのです。

◇昨年団体交渉が開催され、話し合いが始まっている

団体交渉は12月12日に本社で行われました。

会社側は裁判の判決を盾に、65歳定年制の正当性を主張していますが、人員不足ですでに65歳以上の雇用も認めざるを得ない状況にあるにもかかわらず、「慢性的な人員不足はない」と言い張り、労務政策の破綻ぶりを認めようとしません。

今、郵便局で働く労働者は、人手不足の影響を受けて、過重労働を強いられています。

昨年9月の新聞に

「総務省は、手紙やはがきなど郵便物の土曜日の配達をとりやめ、平日のみにする検討に入った。

人手不足で配達員の負担が増えているため。」

という記事が載りました。

団体交渉ではこの新聞報道は認めながら、人員不足は認めないという矛盾した態度を取っています。

今年2月には第2回目の団体交渉が開催される見込みです。

◇労働組合が先頭に立って闘うことが最も大切

日本郵便は官製資本ともいうべき、親方日の丸会社です。

人手不足なのに、募集をかけている時給は最低賃金に20円上乗せするだけの無策ぶりです。

昨年暮れにもパワハラ被害にあった新入社員の損害賠償が認められた判決が出ました。

日本郵便の企業体質を改革するために、労働組合が献身的に闘わなければなりません。

私たち労評は、現場で働く労働者のために、先頭に立って闘います。

最高裁判決などに負けずに、道理と正義を通していきましょう。

◇60歳代の労働者の皆さん ともに65歳以上の雇用を要求しましょう

政府さえも、70歳まで企業に雇用を義務付ける検討を始めています。

体が元気なら何歳までも働き続けられた、過去の日本郵便の労使慣行に戻すべきです。

私たちは、65歳定年制を打ち破ります。

現在、65歳を間近に控え、働き続けることを希望している人もいると思います。

人手不足で汲々としているわけですから、客観的に皆さんが働き続けることに何の支障もありません。

民間企業では普通に行われていることです。

堂々と、65歳以上の雇用を認めろと要求していきましょう。


労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告②

労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組の裁判報告、第二弾です。

賃金対象額が集配労働者の努力や工夫で増減しないことが暴露されると、被告会社は能率手当が集配労働者の努力や工夫で増減すると言い換えてきました。

1015日の裁判における被告会社側証人の証言

能率手当を増額させる方法として、会社側証人は、以下証言しました。

·         トラックのスペースに量的に上手く荷物を積むことで1回多くの荷物を運べる

·         運転経路をうまく設定する

·         荷物をもってちょっと走ってみる

 

こうすれば、1日当たり15分うまくいくと30分労働時間を短縮できる。

時間短縮を1か月間続けることによって36協定の上限時間に余裕ができる。

そうすれば「締(シメ)の間際に」このような余裕のある人に業務指示が出せるので、その人は業務量(賃金対象額)が増える。

 

皆さん、どう思いますか?

被告会社の証言について、原告側の弁護士から1日当たり10分~30分労働時間を短縮できるという証言に対し、何を根拠に割り出したのかという問いに対し、「感覚です」としてしか答えられませんでした。

最大積載量をはるかに越える配達荷物がある場合、荷台スペース一杯に上手に積んでも1回で配達することはできません。

の運転経路は、配達においては配達順路を考えて荷積みをするなど、誰もがやっていることです。

の「荷物をもってちょっと走ってみる」などは、宅配業者ではありません。

重い荷物をもってちょっと走ってみることなどできません。そればかりか、広島支店においては構内を走ってはならないと注意書きをしてあるのです。

それは労災事故や荷物の破損事故の原因になるからです。

しかし、集配先では荷物をもって「ちょっと走ってみる」ようにしろとでも言うのでしょうか。

大阪府労働局(労働基準監督署の上の官庁)は、トラック運転手の労災事故は運転中ではなく、荷主先の荷降ろし作業中に最も多く、これを重大問題視し、トラック運送業者と荷主先に指導監督に入っているほどです。

荷物をもってちょっと走ってみるなどの作業指示を会社がしていることが分かったなら、労働基準監督署から大目玉を喰らい、是正勧告の指導を受けるでしょう。

◇労働時間の短縮は会社の経営努力がなければでき得ない

われわれ原告は、裁判で残業時間の短縮は「無駄を無くすこと」であり、その経営努力を被告会社がしなければならないと主張してきました。毎日毎日待機時間によってどれくらい時間のロスが生まれているのでしょうか。

広島支店では、使用可能なフォークリフトが少なく、朝フォークリフトの奪い合いになることでロスも起こります。

上げればキリがないほどの無駄、ロスがありますが、これらは集配労働者の努力や工夫で解決できるものではありません。

しかし、会社は、残業代を支払っていないから、このようなロスで残業時間が多くなっても、なんらふところが痛まないからロスをなくすための経営努力をしようとしません。

今回の裁判報告はここまでとして、続きは次回、報告します。


◇労働委員会―会社の不当労働行為についての報告

1119日、東京都労働委員会で会社の不当労働行為の証人尋問が行なわれました。

そこで改めて明らかになったことは、労評交運労トール労組の部分的残業拒否闘争(ストライキ)に対し、会社は対抗措置として支店長や主任を動員して、労評員のみに、集荷残業をさせなかったということです。

会社は、このことを労働委員会ではっきりと認める証言をしました。

これは不当労働行為を会社が「しました」と証言したことと同じことです。

会社は、対抗措置について集荷残業をえり好みすることを許していたら労働秩序を保てなくなると主張をしてきました。

労評交運労トール広島分会は、争議行為として残業拒否を行なったのです。

個人が集荷残業をえり好みして残業拒否をするのとは全く違います。

労評の弁護士から会社証人に対し、

組合の争議行為としての残業拒否と、組合の争議行為と無関係に個人が集荷残業をえり好みして残業拒否するのとでは全く違う。後者は業務命令違反で会社が処分すればいいではないか。出来ないですか

旨問い質すと、会社側証人は何も言えませんでした。

トールの多数派労組から、1025日に要望書が出されたから、対抗措置を行なった(不当労働行為をした)というのは、本末転倒も甚だしく全く馬鹿げています。

労働委員会の報告も連続して報告します。

★最新情報★

大阪地裁での判決日が決まりました。

判決期日:2019年3月20日(水)13:10~

 


労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告①

労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組の裁判について、報告します。

◇裁判の争点-能率手当についてー

トールで働く集配職、路線職、整備職の賃金項目の一つである能率手当は「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」という計算式で算出されます。

したがって、

時間外手当A+能率手当(賃金対象額-時間外手当A
=時間外手当A-時間外手当A+賃金対象額
=賃金対象額

となります。

このように

「残業代である時間外手当Aを差し引いて能率手当を計算し、その上で時間外手当Aを支払っても、実態において残業代を支払っているとは言えない」

ということがわれわれ原告の主張です。

◇被告会社の主張―能率手当は、成果主義賃金であるー

このわれわれ原告の主張に対し、被告会社は「能率手当は、成果主義賃金である。成果主義賃金は、より短時間の労働によってより大きな成果を実現した者により多くの賃金を分配するという制度」であるから、残業時間の残業代を賃金対象額から差し引いても合法であり、多数派組合であるトール労組とも合意していると会社は主張しています。

能率手当は「成果主義賃金」である?こんな説明を会社から聞いたことはありますか。

成果とは、つまり賃金対象額のことです。努力と工夫をして残業をせずに、あるいは少ない残業でより多くの成果(賃金対象額)を実現すれば、多額の賃金を得られるぞ。
努力と工夫が足りずに残業をしても賃金対象額から残業代を差し引くからな!漫然と仕事をして残業代稼ぎできると思ったら大間違いだ!

平易に言えば、以上が成果主義賃金についての会社の主張の核心です。能率手当について、このように入社時に説明すれば、誰もトールに就職しない。
事実、正社員になった途端に辞めていく集配労働者が多いのは、騙されたとの思いがあるからである。
正社員になったら「5万円も賃金が下がったから辞める」という話を良く聞きます。
会社の裁判での主張に耳を傾けてみよう。

「残業時間が増えても、実際に支給される賃金に大きな違いが生じないとの点については、残業時間が増えても単に漫然と残業しているだけで成果が向上しなければ指摘のような結果になることは事実である」、「それは成果主義賃金の性格に由来する当然の結果と言う他ない」。
能率手当は「漫然と労働時間を増やしても賃金の増額には必ず結び付かず、逆に長時間労働を抑制して短時間(残業をせずに)で能率を向上させることによって多額の賃金を得ることができるのだと従業員に意識付けしようとするものである」(会社答弁書より抜粋)。

集配労働者なら、この会社の主張がどれほど馬鹿げた、そして集配労働者を見下した主張であるかは分かると思います。

◇会社の主張は、集配労働者を見下した主張である

残業時間が増えるほどの仕事をさせているのは、会社であり、集配労働者が漫然と労働時間を増やしているのはない。
集配労働者は、懸命にその仕事を消化するために残業をしており、漫然(チンタラ)と残業をしているのではない。

それに対し、「漫然(チンタラ)と残業をしているから残業時間が増えても賃金がさほど増えないのだ」というのは、言いがかりではないか。
1時間当たり、300円、500円しかならない集荷賃金対象額(成果)でも会社の業務命令のもとで集荷残業をして顧客の荷物を集荷している。
これに対し、残業をしても成果(賃金対象額)が少ないのは、漫然と残業をしているからだ言われれば、この会社はもうダメだと辞めていくのは当然です。

 

◇能率手当は、成果主義賃金ではない

裁判において、会社は、集配労働者の努力と工夫によって、賃金対象額は増減すると主張し、これを前提に「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」の計算式は、
残業をせずにより多くの賃金対象額を実現すれば、多額の賃金、つまり能率手当を得られると主張してきました。

本当にそうなのか?
集配員の努力や工夫で賃金対象額は増減するのか、しないのかは、まず裁判で争われた点です。
われわれ原告は、集配労働者の努力や工夫で賃金対象額は増減するという主張を前提にした会社の主張は、実態からかけ離れた空理空論であり、偽りの主張であることを暴き、完璧に会社主張を論破しました。
この点については、次回、報告したいと思います。

 

★最新情報★

大阪地裁での判決日が決まりました。

判決期日:2019年3月20日(水)13:10~