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日本労働評議会 高知県本部

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労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告②

労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組の裁判報告、第二弾です。

賃金対象額が集配労働者の努力や工夫で増減しないことが暴露されると、被告会社は能率手当が集配労働者の努力や工夫で増減すると言い換えてきました。

1015日の裁判における被告会社側証人の証言

能率手当を増額させる方法として、会社側証人は、以下証言しました。

·         トラックのスペースに量的に上手く荷物を積むことで1回多くの荷物を運べる

·         運転経路をうまく設定する

·         荷物をもってちょっと走ってみる

 

こうすれば、1日当たり15分うまくいくと30分労働時間を短縮できる。

時間短縮を1か月間続けることによって36協定の上限時間に余裕ができる。

そうすれば「締(シメ)の間際に」このような余裕のある人に業務指示が出せるので、その人は業務量(賃金対象額)が増える。

 

皆さん、どう思いますか?

被告会社の証言について、原告側の弁護士から1日当たり10分~30分労働時間を短縮できるという証言に対し、何を根拠に割り出したのかという問いに対し、「感覚です」としてしか答えられませんでした。

最大積載量をはるかに越える配達荷物がある場合、荷台スペース一杯に上手に積んでも1回で配達することはできません。

の運転経路は、配達においては配達順路を考えて荷積みをするなど、誰もがやっていることです。

の「荷物をもってちょっと走ってみる」などは、宅配業者ではありません。

重い荷物をもってちょっと走ってみることなどできません。そればかりか、広島支店においては構内を走ってはならないと注意書きをしてあるのです。

それは労災事故や荷物の破損事故の原因になるからです。

しかし、集配先では荷物をもって「ちょっと走ってみる」ようにしろとでも言うのでしょうか。

大阪府労働局(労働基準監督署の上の官庁)は、トラック運転手の労災事故は運転中ではなく、荷主先の荷降ろし作業中に最も多く、これを重大問題視し、トラック運送業者と荷主先に指導監督に入っているほどです。

荷物をもってちょっと走ってみるなどの作業指示を会社がしていることが分かったなら、労働基準監督署から大目玉を喰らい、是正勧告の指導を受けるでしょう。

◇労働時間の短縮は会社の経営努力がなければでき得ない

われわれ原告は、裁判で残業時間の短縮は「無駄を無くすこと」であり、その経営努力を被告会社がしなければならないと主張してきました。毎日毎日待機時間によってどれくらい時間のロスが生まれているのでしょうか。

広島支店では、使用可能なフォークリフトが少なく、朝フォークリフトの奪い合いになることでロスも起こります。

上げればキリがないほどの無駄、ロスがありますが、これらは集配労働者の努力や工夫で解決できるものではありません。

しかし、会社は、残業代を支払っていないから、このようなロスで残業時間が多くなっても、なんらふところが痛まないからロスをなくすための経営努力をしようとしません。

今回の裁判報告はここまでとして、続きは次回、報告します。


◇労働委員会―会社の不当労働行為についての報告

1119日、東京都労働委員会で会社の不当労働行為の証人尋問が行なわれました。

そこで改めて明らかになったことは、労評交運労トール労組の部分的残業拒否闘争(ストライキ)に対し、会社は対抗措置として支店長や主任を動員して、労評員のみに、集荷残業をさせなかったということです。

会社は、このことを労働委員会ではっきりと認める証言をしました。

これは不当労働行為を会社が「しました」と証言したことと同じことです。

会社は、対抗措置について集荷残業をえり好みすることを許していたら労働秩序を保てなくなると主張をしてきました。

労評交運労トール広島分会は、争議行為として残業拒否を行なったのです。

個人が集荷残業をえり好みして残業拒否をするのとは全く違います。

労評の弁護士から会社証人に対し、

組合の争議行為としての残業拒否と、組合の争議行為と無関係に個人が集荷残業をえり好みして残業拒否するのとでは全く違う。後者は業務命令違反で会社が処分すればいいではないか。出来ないですか

旨問い質すと、会社側証人は何も言えませんでした。

トールの多数派労組から、1025日に要望書が出されたから、対抗措置を行なった(不当労働行為をした)というのは、本末転倒も甚だしく全く馬鹿げています。

労働委員会の報告も連続して報告します。

★最新情報★

大阪地裁での判決日が決まりました。

判決期日:2019年3月20日(水)13:10~

 

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労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組 裁判報告①

労評交通運輸労組トールエクスプレスジャパン労組の裁判について、報告します。

◇裁判の争点-能率手当についてー

トールで働く集配職、路線職、整備職の賃金項目の一つである能率手当は「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」という計算式で算出されます。

したがって、

時間外手当A+能率手当(賃金対象額-時間外手当A
=時間外手当A-時間外手当A+賃金対象額
=賃金対象額

となります。

このように

「残業代である時間外手当Aを差し引いて能率手当を計算し、その上で時間外手当Aを支払っても、実態において残業代を支払っているとは言えない」

ということがわれわれ原告の主張です。

◇被告会社の主張―能率手当は、成果主義賃金であるー

このわれわれ原告の主張に対し、被告会社は「能率手当は、成果主義賃金である。成果主義賃金は、より短時間の労働によってより大きな成果を実現した者により多くの賃金を分配するという制度」であるから、残業時間の残業代を賃金対象額から差し引いても合法であり、多数派組合であるトール労組とも合意していると会社は主張しています。

能率手当は「成果主義賃金」である?こんな説明を会社から聞いたことはありますか。

成果とは、つまり賃金対象額のことです。努力と工夫をして残業をせずに、あるいは少ない残業でより多くの成果(賃金対象額)を実現すれば、多額の賃金を得られるぞ。
努力と工夫が足りずに残業をしても賃金対象額から残業代を差し引くからな!漫然と仕事をして残業代稼ぎできると思ったら大間違いだ!

平易に言えば、以上が成果主義賃金についての会社の主張の核心です。能率手当について、このように入社時に説明すれば、誰もトールに就職しない。
事実、正社員になった途端に辞めていく集配労働者が多いのは、騙されたとの思いがあるからである。
正社員になったら「5万円も賃金が下がったから辞める」という話を良く聞きます。
会社の裁判での主張に耳を傾けてみよう。

「残業時間が増えても、実際に支給される賃金に大きな違いが生じないとの点については、残業時間が増えても単に漫然と残業しているだけで成果が向上しなければ指摘のような結果になることは事実である」、「それは成果主義賃金の性格に由来する当然の結果と言う他ない」。
能率手当は「漫然と労働時間を増やしても賃金の増額には必ず結び付かず、逆に長時間労働を抑制して短時間(残業をせずに)で能率を向上させることによって多額の賃金を得ることができるのだと従業員に意識付けしようとするものである」(会社答弁書より抜粋)。

集配労働者なら、この会社の主張がどれほど馬鹿げた、そして集配労働者を見下した主張であるかは分かると思います。

◇会社の主張は、集配労働者を見下した主張である

残業時間が増えるほどの仕事をさせているのは、会社であり、集配労働者が漫然と労働時間を増やしているのはない。
集配労働者は、懸命にその仕事を消化するために残業をしており、漫然(チンタラ)と残業をしているのではない。

それに対し、「漫然(チンタラ)と残業をしているから残業時間が増えても賃金がさほど増えないのだ」というのは、言いがかりではないか。
1時間当たり、300円、500円しかならない集荷賃金対象額(成果)でも会社の業務命令のもとで集荷残業をして顧客の荷物を集荷している。
これに対し、残業をしても成果(賃金対象額)が少ないのは、漫然と残業をしているからだ言われれば、この会社はもうダメだと辞めていくのは当然です。

 

◇能率手当は、成果主義賃金ではない

裁判において、会社は、集配労働者の努力と工夫によって、賃金対象額は増減すると主張し、これを前提に「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」の計算式は、
残業をせずにより多くの賃金対象額を実現すれば、多額の賃金、つまり能率手当を得られると主張してきました。

本当にそうなのか?
集配員の努力や工夫で賃金対象額は増減するのか、しないのかは、まず裁判で争われた点です。
われわれ原告は、集配労働者の努力や工夫で賃金対象額は増減するという主張を前提にした会社の主張は、実態からかけ離れた空理空論であり、偽りの主張であることを暴き、完璧に会社主張を論破しました。
この点については、次回、報告したいと思います。

 

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大阪地裁での判決日が決まりました。

判決期日:2019年3月20日(水)13:10~


労評交通運輸労組 トールエクスプレスジャパン労組の活動報告

現在、労評で取り組んでいる交通運輸労組のトールエクスプレスジャパン労組の活動について報告します。
交通運輸労働者は日本全国にいます。トールエクスプレスジャパンの闘いに学び、団結の輪を広げていきたいと思います。

冬季一時金闘争報告
 -会社はさらなる努力を!-

今年の冬季一時金は、昨年同期と比べて、約30%増額していますが、同業他社と比べるとまだ相当低額です。
労評トール労組は、この点についての会社の認識を問いただしました。
 
会社もトールの一時金が、同業他社の世間相場と比べれば、まだ相当低いことを認めました
その上で「世間相場に近づけるために経営努力をする」と回答しました。
 
昨年10月から取引先に荷物の運賃値上げ交渉をしてきたが、今年度になってその成果が現れてきており、その成果を労働者に回して、昨年実績より増額したということです。
 
日本の道路貨物輸送は、運賃値下げ競争という過当競争の中で、トラック運転手に対する残業代の不払など低賃金の犠牲を強いることで成り立ってきました。
交通運輸で働く労働者は、この「犠牲」を自らの手で断ち切らなければなりません。

まずトールにおいて、この闘いを、労評トール労組と共に進めていくことを呼びかけます。

 

未払残業代請求裁判報告 -証人尋問が行われる-

去る10月15日、裁判の最大の山場である証人尋問が大阪地裁で行われました。

原告である労評トール広島分会の組合員2名、被告会社側から1名の証人尋問がありました。

 

その後、この間の双方の主張をまとめた最終準備書面と呼ばれている書面を提出し、判決は3月です。

 

今後、判決に向けて、裁判で会社が主張してきたことが、トールの実態とかけ離れた主張であるかを、連続して報告していきたいと思います。

 

例えば、

【会社の主張】

・集配労働者の努力や工夫で賃金対象額を増加させることができる。

・したがって、残業せず、あるいは少ない残業で多くの賃金対象額を稼ぐように努力や工夫をすれば、多大な能率手当を得ることができる。

・能率手当が、少ないのは、努力や工夫が足りないからだ、またチンタラ仕事をしているからだというような主張をしています。

【原告の主張】

・配達先や集荷先は、会社が決めるのであって、また配達量も集荷量も顧客先の事情によって決まるのであって、集配員の努力や工夫で増加さすことはできないと主張しています。

・また集荷する限り、残業にならざるを得ないと主張しています。

配達時間帯に追われ、集荷時間帯に追われ、まともに昼休憩さえも取ることができない仕事量を与えられて働いている集配員にとって、会社の主張がいかにデタラメであるかは分かると思います。
現行の賃金規定、「能率手当=賃金対象額-時間外手当A」は、絶対に変えさせるようにしていかなければなりません。


今後連続して、裁判での被告会社の主張を暴いていきます! 


労働相談を受け付けています

こんにちは。労評高知県本部です。

南国・高知もいよいよ冬本番。春が待ち遠しい今日この頃ですね。

 

今年の春には、労評が取り組んでいる大きな事件・トールエクスプレスジャパン裁判の判決を迎えます。

トラックの運転手さんが抱える労働問題に取り組むこの裁判は、交通運輸業界への影響が大きく期待されています。

この取り組みを皮切りに、職場で悩んでいる高知の労働者のみなさんの問題をひとつひとつ一緒に解決していこうと気持ちを新たにしています。

 

労評高知県本では、業種・職種を問わず、随時、労働相談を受け付けています。

お気軽にご相談ください。

・相談無料・秘密厳守。

・相談は、電話、メールどちらでもOKです。

・相談時間・場所は双方で相談し、双方の都合のよいところで調整します。

・相談人数は一人でも複数人でも受け付けています。

・顧問弁護士がいますので、法律的なご相談もどうぞ。

 

連絡先:労評高知県本部

    メール:sikoku2012@orange.plala.or.jp

 


相談の進め方:

◎状況共有:どのような相談内容であっても、まず相談者の方と職場の問題点、悩みについて共有していきます。

◎問題整理:次に、労評側において問題が法律違反かどうか、どういう性質のものかを整理します。

◎解決提示:問題点に対してどのような解決策があるか、などを提示させていただきます。

◎組合としての活動:解決に向けて労評が一緒に取り組むことになれば、労評に組合加盟していただきます。

 

相談事例:

「サービス残業がある。どうにかならないか。」

「退職しようと思うが、会社が辞めされてくれない。」

「退職する際に、有給消化や残業代未払いの請求をしたい。」

「パートだが、次回の契約更新で雇止めになりそう。」

「うちの会社はこんなところがあるのですが、これは法律違反ではないですか?」

などなど。


労働相談の解決事例

こんにちは。
日本労働評議会(労評)は、企業や職種、業種の違いに関わらず、労働者なら誰でも加盟できる合同労組です。
もちろん、国籍や人種、宗教を問わず、一人でも加盟できます。
今回は、労評高知県本部で扱った労働問題の解決事例を紹介します。

◆建設関係の会社でのパワハラ事件
問題が起こったのは、高知県の某建設会社。

現場のリーダーが、労働者に対して暴言や、工具を使って頭、顔をなぐるなどの暴力を加えることが繰り返し起こっていました。指導と呼ぶには行き過ぎており、相談に来た労働者Aさんには身体のあちこちに痣が残っていました。すでに、何度か会社への直談判を行い、再発防止のための話し合いをしたけれども、暴言・暴力は収まるどころかエスカレートしていったため、恐怖を感じて現場から逃げ出し病院に駆け込んだとのことでした。

◆高知でも増加している外国人実習生
Aさんは、外国人技能実習生でした。

外国人技能実習生とは、厚生労働省によると「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力することを目的」とした制度です。つまり、外国人が日本に実習に来て、学んだ技術や知識を母国に持ち帰るというのが大義名分。しかし、実際には制度本来の目的とは外れた人手不足解消の手段、単純労働力として扱われている現状があります。
高知県でも農業や漁業をはじめ、建築などの分野で外国人技能実習生の受け入れが増加しています。Aさんは、母国で測量など建築技術を学び、日本の文化や習慣にも強い関心を持って学びたいと実習に来ていましたが、受け入れ先の会社で暴力・暴言を受けてしまいました。

◆労働相談から団体交渉へ
Aさんが知人の協力を得て、相談を持ち掛けたのは労評の顧問弁護士が運営する暁法律事務所でした。指宿弁護士は、外国人技能実習生問題弁護士連絡会の共同代表をしている外国人技能実習生問題を扱う弁護士の第一人者です。

Aさんは東京にある暁法律事務所に相談し、すぐに対応することになりました。しかし現場・高知では外国人技能実習生問題への取り組みがあまりなかったため、労評高知県本部に協力要請があり、取り組むことになりました。
私たちはAさんと直接会い、事情を共有して一緒に会社と交渉することにしました。このとき、私たち労評のこともAさんと共有し、Aさんに労評に加盟してもらい、労働組合として会社と話し合いの場を設定する手続きを行います。具体的には、会社と連絡を取り『団体交渉申し入れ書』という書面で正式に会社に話し合いの場を設定します。この団体交渉は、憲法第28条で、「労働者の団結する権利及び団体交渉、その他の団体行動する権利は、これを保障する」と定められており、会社側は正当な理由なく拒否することはできません。Aさんの場合、当然団体交渉の場を設けることになりました。

この後、約3か月の期間で複数回団体交渉を行い、Aさんが第一に求めていた職場移転を勝ち取ることができました。(この過程には、会社との交渉に加えて入国管理局との交渉も行っています。)


◆なるべく早く相談を!
今回のAさんの場合、親身に相談にのってくれた友人・知人がいたことが幸いして、暴力・暴言をふるう現場リーダーのいる会社とは別の会社で働くことができるようになりました。しかし、Aさんのような外国人技能実習生に限らず、日本人労働者も、職場でのパワハラなど悩みを抱えてうつ状態になってしまったり、ひどい場合は自殺するなど深刻な問題に発展してしまう可能性があります。たとえそうなっても、多くの場合、会社は労働者の自己責任として片づけてしまうので、何の対応も期待できません。自分の身を守るためにも、また第二、第三の犠牲者を生み出さないためにも、自分の職場が「おかしいな」と思ったらなるべく早く相談することをお勧めします。

私たち労評は、さまざまな理由で問題を抱える労働者のために、労働組合の力で使用者と交渉することができます。一人であってもあきらめず、是非、組合の扉を開きましょう。労働相談は、随時受け付けています。お気軽にご相談ください。