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日本労働評議会 高知県本部

【筑波大学分会】活動報告 ”筑波大学長、団交3日前にドタキャン! “

労評茨城県本部の筑波大学分会の活動を報告します。

労評筑波大分会からの団体交渉要求に対し、筑波大学は一旦応じるとしておきながら、団交当日直前の土壇場でキャンセル。その後も団交を拒否し続けています。

 

   (2021年10月14日、厚労省記者会で記者会見を行いました。)

 筑波大学では、昨年(2020年)秋の学長選考を前にして学長の任期・再任回数上限を撤廃する法人規則の改定が行われる(これにより、現職の永田学長が永遠に学長を務めることも理論上可能となりました)等、非民主的な手続きについて、教職員の疑問の声が高まり、「筑波大学学長選考を考える会」(詳しい経緯はこちらをご覧ください。)が結成されました。教員の投票に基づく「意見聴取」において永田学長は対立候補に大差で敗れ不信任を突きつけられたにもかかわらず、学長選考は、学長選考会議が不当にも永田学長の再任を決めるという結果になりました。その後も「考える会」は活動を継続し、学長選考過程には瑕疵があることが判明しました(※1)。また、留学生数水増し問題(※2)、「ソーシャルメディア利用ガイドライン」を用いた言論弾圧の疑惑(※3)などについても、教職員及び学生から批判の声が上がっています。学長選考問題と留学生水増し疑惑は、何度も報道され、社会問題になっています。

2021年5月、「考える会」の共同代表2名が労評に加入し、筑波大学分会が結成されました。そして、6月24日、大学に対して、この2名が「ソーシャルメディア利用ガイドライン」上、「問題がある」とされることがあるのかどうか等について回答することを求めて、団体交渉の申入れをしました。

筑波大学は、7月6日、一旦は応じると回答しました。ところが、団交予定日の3日前の7月27日、突然、団交の議題が義務的団交事項に当たらないとして、団体交渉を拒否してきました。労評は、それは正当な理由のない団交拒否であるとして抗議して再度団交申入れをし、さらにその後、学長選考過程上の瑕疵と留学生数水増し問題についての質問も加えたうえで三度目の団交申入れを行いましたが、現在に至るまで大学側はこれを拒否し続けています。

これらの点に関する要求は、いずれも義務的団交事項にあたらないと言うことはできません。「ソーシャルメディア利用ガイドライン」に関しては、これを用いて特定の教員に人事上の不利益を与える動きがあったことが判明しており、これの運用について質すことは組合員の雇用上の地位に直結する問題ですから、まさに団交で扱われるべき事項に当たります。また、学長選考過程上の瑕疵や留学生数水増し問題は、いずれも大学の信頼失墜を招いて経営に影響を与え、ひいては教員の教育活動や経済的地位に著しい影響を与えるので、団交で扱われるべき事項です。

筑波大学による団交拒否は、労組法7条2号の不当労働行為にあたり、労働者が憲法で保障されている労働基本権を侵害するものです。また、学長選考手続きにおける違反は、憲法23条が保障する大学の自治を踏みにじるものです。さらに、「ソーシャルメディア利用ガイドライン」を用いた言論弾圧ともいえる行為は、憲法21条が保障する表現の自由を侵害するものです。学長による独裁体制だと批判されている筑波大学においては、憲法は排除されているかのような状況なのです。

今、日本では、各地の国公立大学において、学長独裁体制のもと、大学の自治が蹂躙されつつあります。筑波大学で起きている問題は、この普遍的な状況の最前線に位置するものと言えます。

労評は労働組合として、労働者の権利を守る闘いを通して、この重大な問題を広く社会に問い、また問題を共有する他大学の教職員や学生とも連帯の輪を広げ、運動を波及させていき、大学における真の民主主義の実現を果たしていこうと考えています。

 

※1 学長選考過程における瑕疵とは、学長の任期・再任回数上限を撤廃するという、重大な法人規則の改定に際し、規則改定について求められる適法な手続きを大学当局が独断で省略して決裁を行なったことを指します。

※2 留学生数水増し問題とは、タイムズ・ハイヤー・エデュケーション社が独自に公開している「世界大学ランキング」において、筑波大学が同社の定義に反して外国人学生の範囲を勝手に拡大し、それによって外国人学生数を水増ししていたことが明らかになったという問題です。筑波大学は指定国立大学法人の申請書類において、水増しされた同社のデータを根拠とする数字を用いていたことも明らかになっています。

※3 「ソーシャルメディア利用ガイドライン」による言論弾圧疑惑とは、昨年の学長選考における対立候補がウェブ上で行った情報発信を「ソーシャルメディア利用ガイドライン」違反として問題視し、さらに同候補者に人事上の不利益を与える動きが大学当局側においてあったという問題です。

記者会見時の配布資料(団体交渉申入書、要求書、大学側回答書)

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